『らんまん』浜辺美波が演じる寿恵子は“花”から“笹”に 万太郎の植物との道を照らす笑顔

 『らんまん』(NHK総合)第93話で、「一人でもこの道を行く」と決心した万太郎(神木隆之介)に竹雄(志尊淳)は「わしは反対じゃ」と言った。一人で植物学を続けるにはお金がかかること、万太郎には寿恵子(浜辺美波)や千歳といった大切な家族がいることを心配してのことだった。けれど万太郎は言う。

「寿恵ちゃんはわしの背中を押してくれた」

 寿恵子は綾(佐久間由衣)と『南総里見八犬伝』について語らう中で、綾や万太郎の生き様を「本当に強い! 八犬士みたい」と嬉しそうに例え、「私なんか、何も取り柄ないのに……」と口にした。隣にいた綾からすれば、悲しみを乗り越え、どんな困難も冒険するように克服していく寿恵子こそ八犬士だ。寿恵子は馬琴先生への深い深い愛もあって「違います。全然違います!」と返していたものの、竹雄や綾、そして万太郎は寿恵子の強さを知っている。

 万太郎は寿恵子を「笹」のようだと言う。出会った頃はかわいらしくきれいな花のようだと感じていたが、今は違う。万太郎は「寿恵ちゃんはそんなどころじゃあない」と話す。その感心した顔つきから、寿恵子の強さ、たくましさがうかがえる。大抵の草花は茎の先端から成長するが、笹は節の一つ一つが伸びて一気に背を伸ばす。笹は寒くて厳しい場所でもしっかりと根を張って生きる。万太郎は敬服するような面持ちで「飛び抜けて生きる力が強いがじゃ」と言った。

 万太郎が植物採集の旅に出る日、寿恵子と千歳を気にかける万太郎を寿恵子が「そこまで!」と制した。寿恵子から「万太郎さん、私たちのこと忘れてください」と言われ、万太郎は驚く。寿恵子は万太郎とともに歩む覚悟を決めている。万太郎が一心に植物と向き合えればそれでいい、と笑顔で送り出す。佐川に帰る竹雄と綾を見送る場面も強く心に残る。「お義兄さん、お義姉さん、いつでもいらしてくださいね!」と2人に声をかける寿恵子の笑顔は太陽のように明るかった。

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