ジャン二・アメリオ監督が今の時代に問う“愛”と“人間の尊厳”の物語 『蟻の王』11月公開へ
第79回ヴェネチア国際映画祭コンぺティション部門に出品され独立賞5部門を受賞したジャンニ・アメリオ監督の最新作『Il signore delle formiche(原題)』が、『蟻の王』の邦題で11月10日よりヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA、アップリンク吉祥寺ほかにて全国順次公開されることが決定した。
5月に開催された「イタリア映画祭2023」でプレミア上映された本作は、カンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞した『小さな旅人』やヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞した『いつか来た道』を手がけ、『家の鍵』ではヴェネチア国際映画祭3部門受賞、米アカデミー賞外国語映画賞のイタリア代表作品にも選出されたアメリオ監督による、“人間の尊厳”を問い直す物語。同性愛者の存在すら認められなかった時代に恋に落ちた、実在した詩人で劇作家のアルド・ブライバンティとその教え子を巡る史実、“ブライバンティ事件”にインスパイアされたもの。アメリオ監督は、製作の動機について「今も存在する“異なる人”に対する憎悪に立ち向かう勇気を与えたい」と語っている。
1960年代、イタリア・ポー川南部の街ピアチェンツァに住む詩人で劇作家、蟻の生態研究者でもあるアルド(ルイジ・ロ・カーショ)は、教え子の若者エットレ(レオナルド・マルテーゼ)と惹かれ合い、ローマに出て共に暮らし始める。しかし、エットレの家族は2人を引き離し、アルドは逮捕、エットレは同性愛の“治療”で電気ショックを受けさせられるため矯正施設に送られてしまう。世間の好奇の目に晒されながら裁判が始まった。新聞記者エンニオ(エリオ・ジェルマーノ)は熱心に取材を重ね、不寛容な社会に声を上げるのだが……。
主人公アルドを演じたのは、『輝ける青春』『夜よ、こんにちは』『いつだってやめられる』などのルイジ・ロ・カーショ。アルドとの愛を貫き通そうとするエットレ役を新星レオナルド・マルテーゼが演じた。マルテーゼの演技についてアメリオ監督は「映画の奇跡」と称している。さらに、裁判のゆくえを見守る新聞記者エンニオ役で、カンヌ国際映画祭主演男優賞受賞歴を持つエリオ・ジェルマーノが出演している。
あわせて公開されたポスタービジュアルでは、アルドとエットレの横顔が切り取られており、「愛と誇りだけは、誰にも奪えない。」というキャッチコピーが配置されている。
■公開情報
『蟻の王』
11月10日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
監督・脚本:ジャンニ・アメリオ
脚本:エドアルド・ペティ、フェデリコ・ファバ
編集:シモーナ・パッジ
撮影:ルアン・アメリオ・ウイカイ
美術:マルタ・マッフッチ
出演:ルイジ・ロ・カーショ、エリオ・ジェルマーノ、レオナルド・マルテーゼ、サラ・セラヨッコ
配給:ザジフィルムズ
後援:イタリア大使館、イタリア文化会館
2022年/イタリア/イタリア語/ビスタ/カラー/Dolby Digital/140分/映倫:G/原題:Il signore delle formiche/英題:Lord of the Ants/字幕翻訳:吉岡芳子
©Kavac Srl / Ibc Movie/ Tender Stories/ (2022)
公式サイト:http://www.zaziefilms.com/arinoo/