『美少女戦士セーラームーン』の場合は、武内直子の原作漫画も含めた旧作からのファンに今一度、応えようとしたリメイクに落ち着いた印象。2014年に『美少女戦士セーラームーンCrystal』として再アニメ化された当初は、漫画の雰囲気を取り入れたキャラクターデザインだったが、『美少女戦士セーラームーンEternal』で旧作と同じ只野和子がキャラクターデザインに復帰し、『美少女戦士セーラームーンCosmos』も担当。TVアニメで見た雰囲気のセーラー戦士たちの活躍を、大スクリーンで観ることができる嬉しさを古いファンは味わった。

　90年代の『セーラームーン』は女の子たちの憧れとなり、玩具も大人気となったが、今回のリメイクで子供向けの玩具が大きく動いたという話は聞こえて来ない。次の世代に『セーラームーン』を引き継げたかどうかを考えると、判断に迷うところもあるが、かつてのファンに喜んでもらえた以上は、成功裏に収まったリメイクだったと言えそうだ。

　これからもリメイクは相次ぐ。支倉凍砂のライトノベル『狼と香辛料』が2008年から2009年にかけての2期に及ぶTVアニメ化とは別に、改めて最初からアニメ化されることが決まっている。2001年から2002年にかけてTVアニメ化された『シャーマンキング』も、2021年から2022年に『SHAMAN KING』として再アニメ化されたものが、2024年に第2期へと突入して完全版となった武井宏之の原作漫画を追いかける。皆川亮二の漫画を原作にした『スプリガン』も、部分的だった1998年の映画化に続き、2022年に原作準拠で再アニメ化されたが、Netflix版で6話のみのためさらなる続きを期待したいところだ。

　こうなってくると、次にどんなアニメがリメイクされるかが気になるところ。アニメファンの希望はやはり宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』だろう。7月7日にTV放送された際、クシャナ殿下は原作漫画の方が素晴らしいといった声がネットに渦巻いた。長大な原作漫画がアニメ化されたら最高だが、宮崎駿監督が手掛ける望みは薄い。

　となればここは『新世紀エヴァンゲリオン』を再アニメ化して完結させた庵野秀明監督に出馬を願いたいところだが、果たして可能性はあるのか。『るろうに剣心』のような思わぬリメイクもあるのなら、ゼロとは言えないし、言いたくない。

■放送情報
『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』
フジテレビ“ノイタミナ”ほかにて放送、毎週木曜24:55〜放送
Prime Videoにて、毎週金曜12:00〜先行配信
各種配信サービスにて、毎週月曜12:00〜順次配信
原作：和月伸宏『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』（集英社 ジャンプコミックス刊）
監督：山本秀世
シリーズ構成・脚本：倉田英之
シリーズ構成・脚本協力：黒碕薫
キャラクターデザイン：西位輝実、内田陽子
衣装デザイン：なすか
プロップデザイン：小菅和久
メインアニメーター：北尾勝
アクションアニメーター：菊地勝則
音楽：髙見優
音響監督：納谷僚介
音響効果：小山恭正
色彩設計：篠原愛子
美術監督：齋藤幸洋
撮影監督：髙津純平
編集：長谷川舞
3DCGI：ライデンフィルム
アニメーション制作：ライデンフィルム
声の出演：緋村剣心：斉藤壮馬、神谷薫：高橋李依、明神弥彦：小市眞琴、相楽左之助：八代拓、高荷恵：大西沙織、四乃森蒼紫：内田雄馬、斎藤一：日野聡
©和月伸宏/集英社・「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」製作委員会
オープニングテーマ：Ayase✕R-指定「飛天」（Sony Music Entertainment (Japan) Inc.）
エンディングテーマ：Reol「切っ先」（Sony Music Labels）
公式サイト：https：//rurouni-kenshin.com
公式Twitter：@ruroken_anime
公式Instagram：@ruroken_official
公式TikTok：@ruroken_official