『らんまん』夢に向かって寿恵子の頼もしさが光る 長屋暮らしに新たな風が吹き込む

 連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合)の第15週となる「ヤマトグサ」が放送された。万太郎(神木隆之介)は新種の植物の名付け親になるべく、植物図譜の発刊の準備に大忙し。昼間は大学に、夜は石板印刷のため大畑印刷所に向かうと言い出した。だが、寿恵子(浜辺美波)は寝ずに働く万太郎のことが心配でたまらない。そこで大きな決断をすることになる。

 第15週は寿恵子の頼もしさが光る週となった。かつて万太郎の面倒を見るのは、お目付け役の竹雄(志尊淳)の仕事だった。だが万太郎が結婚したことで、その役目は寿恵子が引き継ぐことに。はじめのうちは、ハードな山での採集作業に付き合い、万太郎のマイペースさに振り回される寿恵子を案じていた視聴者も多かったのではないだろうか。加えて、万太郎の頭の中は植物のことばかり。一人寂しく万太郎の枕を見つめる寿恵子の表情も頭をよぎる。

 だがこの心配を吹き飛ばすかのように、第15週の寿恵子は駆け抜けていった。万太郎のために何ができるのかを自ら考え、生活のことだけでなく、万太郎の図譜制作という「夢」においても力になろうと奔走する。結果として寿恵子は、万太郎よりも先に石板印刷機を買うことを決意。さらに、それを長屋に置くために「けしからん穴」の空いていた壁をぶち抜いて一部屋にすることを、万太郎と共にりん(安藤玉恵)に交渉した。

 寿恵子の働きはそれだけではない。「ユウガオのお姫様」と称された純白のドレスを質にいれ、金を工面。石板印刷で刷り上がった紙を乾かす係も担当し、多大なる献身ぶりを見せた。万太郎への愛の深さが垣間見える活躍ぶりだが、おそらく寿恵子の活力は万太郎への想いが全てではないだろう。ふと手に取った『南総里見八犬伝』を見つめ「馬琴先生も寝ないで書かれたのかな?」と漏らしたことからも、寿恵子は自分自身もまた万太郎の作る植物図譜を心から楽しみにしているのだと見て取れる。2人はまさに、二人三脚で歩んでいるのだ。

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