『18/40』福原遥と深田恭子の人生が交差 有栖の「自己責任ですよね」の言葉が響く

『18/40』は人との寄り添いを描く

 そう泣きながら話す瞳子に、有栖の「自己責任ですよね」の言葉が妙に響いた。それは瞳子に対してではなく、有栖自身に向けられたものだったが、瞳子にもきっと刺さったのではないだろうか。有栖は彼が好きだから結ばれた。その行為の先に妊娠の可能性があることも知った上で。だから、この状況は「全部自分のせいだ」と。

 「自己責任」という言葉が新語・流行語大賞に選ばれたのは2004年のことだった。それからおよそ20年。すっかりその言葉と共に、不寛容な空気が社会全体を覆っているように感じる。誰かがピンチなのだと訴えても「自分で選んだ道なのだから、自分でなんとかしなければいけない」と突き放したり、「どんな結果になったとしても自業自得だから人に頼るな」なんて責められる、そんな社会になってはいないだろうか。

 このドラマはそんな「自己責任の時代」の限界に、そっと背中をさすってくれるドラマになりそうな気がする。特に有栖は「自己責任」が広まった後に生まれた世代。だからこそ、恋人の母親にも「自分のことは自分でケリをつけます」なんて言わずにはいられなかったのかもしれない。

 真面目だからこそ、自分だけでなんとかしようと抱え込む。でも、それではひとりで潰れてしまう。もちろん、自分でした選択の責任は自分でしか取れないし、無責任になれとは言わない。でも、自分が本当にしたいことを諦める必要なんてないのだ。握力全開にして、つかみにいく。人生にはきっとそんなタイミングがある。

 同時に、瞳子のように「この人を助けたい」「力になりたい」と差し伸べる手を引っ込める必要もない。良かれと思ったことでさえ「お節介だ」と言われたり「出過ぎた真似だ」と責められる世の中。だが、誰とも関わらずに生きていくなんてそもそも無理なのだとこの際腹をくくってみるのもアリかもしれない。誰かを救うことで、自分自身が救われることもあるのだから。うまく誰かに頼るのも、誰かから頼られるのも「大人になる」ということなのだから。

 顔の見えない批難に怯え自分の本音を隠して窮屈に生きるよりも、点滴室での一幕のように思うままに話して泣いたり笑ったりしながら寄り添っていく。今からだってそう生きていくことができるんじゃないか、そう提案してくれるドラマになってほしいと期待している。

■放送情報
火曜ドラマ『18/40~ふたりなら夢も恋も~』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:福原遥、深田恭子、鈴鹿央士、上杉柊平、出口夏希、長澤樹、八木勇征(FANTASTICS)、嵐莉菜、シルビア・グラブ、髙嶋政宏、美村里江、松本若菜、片平なぎさ、安田顕
脚本:龍居由佳里、木村涼子
プロデューサー:韓哲、荒木沙耶、内川祐紀
演出:福田亮介、松木彩
製作著作:TBS
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/1840_tbs/
公式Twitter:@1840_tbs
公式Instagram:1840_tbs

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