『らんまん』志尊淳の眼差しに宿る慈愛の心 寿恵子が竹雄から受け継ぐ“想い”

 劇中では、竹雄から寿恵子へ、植物採集の作法と万太郎をそばで支える思いが引き継がれたのと同じように、寿恵子から万太郎へ、万太郎だからできることを言葉で伝えていた。

「見渡す限り、もっと細かく、誰が、どこにいて何をしてるのか、全部見えているんでしょ? このお山じゅうがにぎやかに皆生きているのが見えているんでしょ? それ、全然当たり前じゃありません!」

 万太郎はこれまで、植物にとことん向き合える自分の能力を“当たり前”と捉えていたのだろう。だからこそ、目に見えないもののことが何も分からない自分が役立たずに思えていた。寿恵子の言葉によって、万太郎は自分の力に自信が持てたはずだし、竹雄の助言によって、人の力に頼るべき場面に気付かされた。万太郎は桜の病気の原因を解明するため、植物学教室の波多野(前原滉)や藤丸(前原瑞樹)、野田(田辺誠一)や里中(いとうせいこう)、そして田邊(要潤)に助けを求める。

 物語の終わり、竹雄は「万太郎。お話があります」と神妙な面持ちを見せ、その言葉を受け、作業を中断してため息を吐く万太郎の横顔が物悲しげに映った。長きに渡って共に歩んできた2人の別れを予感させる。

 2人が何を話すのかが気になるが、万太郎から手紙を受け取った波多野や藤丸、野田や里中、そして田邊がどのような行動を起こすのかも気になるところだ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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