西野七瀬、『Dr.チョコレート』は坂口健太郎の“峰不二子”だった 改めて実感した持ち味
坂口健太郎主演の土曜ドラマ『Dr.チョコレート』(日本テレビ系)で、敏腕新聞記者・奥泉渚役を演じ、坂口との掛け合いで見事な魔性ぶりを見せている西野七瀬。最終回を前に、今作での西野の魅力について振り返ってみたい。
西野が演じる奥泉渚は、Dr.チョコレートの正体を追う大手新聞社「東都新聞」社会部のエース記者で、奥泉が狙う次なるスクープが、Dr.チョコレートの正体。元々は、Teacher(坂口健太郎)が追う2年前の「城南爆発火災」の記事を書いていて、「偶発的な事故」として続報の予告をしていたにもかかわらず上層部がストップをかけ、連載が中止に。Teacherは事件の真相を聞き出したい、奥泉はDr.チョコレートの正体を知りたいと、当初はお互いに信用せず、牽制しつつも「ギブアンドテイク」だと情報交換をしていく。ただ、お互いを利用し事件に迫っていく中で、信頼と共に恋心が目覚め、情報屋としてだけではなく、Teacherを守るバディのような関係となっていく。
当初は、自身のかわいさを武器に相手を手玉に取ってやろうという魔性ぶりを見せていたが、変化が見え始めたのが第6話。奥泉がTeacherを盗聴していたのがバレた際に、「中途半端な取材で記事は書きません」と、Dr.チョコレートの正体を暴いた記事を切り裂き、盗聴器から聞こえたTeacherの発言を問い詰め、「怖いんですか、自分と向き合うのが。全てを知った上で記事にしろつったのはお前だろ!」と怒鳴る。そしてTeacherが「俺は、医師免許を持ってるだけの役立たずなんですよ」と言うと、奥泉がバックハグをして、「いま私、間違えましたね。馬鹿でした私も」と恥ずかしそうに言う。もうTeacherのことが好きになりすぎて感情が先走る奥泉。ただ、穿った見方をするなら相手を落とす妖艶なテクニックのフルコースで、なかなか心を開かないTeacherを動揺させる為のパワープレイにも見える。これが純愛にしても、一歩踏み込んできたのは間違いない。
極め付けが、Teacherが人を殺した(実際は殺していない)カンボジアでのトラウマの話のときのこと。Teacherが「義手だから医者はできない」と言うと、奥泉は「野田さんには私がいる。何があってもあきらめないでください。野田さんは1人じゃありません」と目を見つめて言う。そして奥泉が去って行こうとすると、手を握り「俺もあなたの全てを知りたくなりました」と、遂にTeacherが陥落。そしてこの直後に、Dr.チョコレートの正体の記事が公開され、チームは解散し、唯(白山乃愛)とTeacherは離れ離れになることに。ただこれは上司の勝手な判断(闇の圧力?)で記事が公開されてしまったため、奥泉の本望ではない。そして「ごめんなさい」とTeacherに謝り、真実を書いたのはTeacherが好きで守りたかったからだと奥泉は訴える。とはいえ、ここの言い訳も同情を引くための作戦な気がしてならない。ただ、一つの事件を追うことで、確かに恋心のように惹かれたのは事実だと思う。