『Dr.チョコレート』坂口健太郎のフラッシュバックした記憶 “復讐”以外の選択肢の存在

 学校の帰り道に、ボランティア活動に参加している出川(古川雄大)を見かけた唯(白山乃愛)。チームのなかでも突出した“いい人”である出川に、その理由を訊ねた矢先、彼は近くを通りかかったホームレスの男性に殴りかかろうとする。実は出川は、5年前に失踪しホームレスになっているという兄を見つけ出し、殴るためにボランティアに足を運んでいるというのだ。5月27日に放送された『Dr.チョコレート』(日本テレビ系)第6話は、そんな出川のバックグラウンドにフォーカスを当てながら、“選択肢”の存在を見出すエピソードであった。

 “め組”と訣別した白石千尋(田中道子)のもとを訪れ、情報を聞き出そうとする野田(坂口健太郎)。そこで“め組”のセミナーに俳優の西崎竜人(井上想良)が参加していたことを知り、奥泉(西野七瀬)から西崎の自宅の情報をもらい、大型バイクで出かけた彼の後を尾ける。西崎が向かったのは、交際相手である女優の葉山えりか(青島こころ)とのお忍びのバイクデート。しかし2人の乗ったバイクは単独事故を起こし、その衝撃で葉山は昏睡状態に陥ってしまう。そこで野田は、西崎に葉山を救う代わりに“め組”の情報を聞き出そうとするのだが、西崎もその場で意識を失ってしまうのである。

 「それしか方法がないと思っていても、いつだって別のやり方がある」。今回の劇中で、野田や唯が口にするこの言葉は、唯の父・光一(山本耕史)が生前言っていた言葉だそうだ。序盤で奥泉から“ドクターチョコレート”に関する記事の原稿を見せられた野田は、「唯のためだったら何でもします」と語る。しかしそこには、行動の矛盾や何がしたいのか・何をすべきなのかという根本的な部分の揺らぎが見え隠れしており、「選択を間違えるところでした」という言葉もまた、彼のなかに迷いがあることを露呈させる。

 事故にあった西崎を助けるため、チームのメンバーを招集して到着を待つ間に、野田は左手に義手を添えるようにして心臓マッサージを繰り返すのだが、うまく力を入れることができない。さらに屋外でのオペで急遽メスを執ることになった途端、過去の記憶がフラッシュバックしてしまう。一方で、そんな野田の躊躇を汲み取った唯は、即座に2人のペイシェントを救うための“別のやり方”を見つけ出し実行する。唯の執刀医としてのリーダーシップが、自らを“役立たず”と嘲笑する野田をさらに苦しめ、迷わせるのであろう。

 出川と失踪した兄の再会は、少々さっぱりしたかたちで終盤に実現される。それも結局は、出川のなかにずっとあった寂しさを解消するための選択肢が、“殴る”こと以外にあるのだと証明するためのくだりに他ならない。これを野田の立場に置き換えてみれば、2年前の事件の“復讐”以外にも唯を守る方法があり、それを野田自身が認めきれていない状態にあるといったところか。オペ中にフラッシュバックした記憶は、おそらく以前奥泉に言っていた「人を殺した」という言葉と結びつくもの。唯はそれについて知っているようだが、いずれにせよこれが、終盤の野田の“選択”を大きく左右するきっかけとなることは明白だ。

■放送情報
『Dr.チョコレート』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演:坂口健太郎、白山乃愛、西野七瀬、葵わかな、鈴木紗理奈、前田旺志郎、古川雄大、小澤征悦、斉藤由貴ほか
企画・原案:秋元康
脚本:渡辺雄介
チーフプロデューサー:田中宏史
プロデューサー:藤森真実、岩崎広樹、本多繁勝
演出:佐久間紀佳、南雲聖一、宮下直之
制作協力:日テレアックスオン
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/dr-chocolate/
公式Twitter:@drchocolate_ntv
公式Instagram:@drchocolate_ntv

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