『らんまん』浜辺美波「尊い……!」に詰まった寿恵子の人物像 文明開化の波が押し寄せる

『らんまん』万太郎と寿恵子に文明開化の波

 長屋暮らしもすっかり板についてきた万太郎(神木隆之介)は、住人の子どもたちにたんぽぽの名前の由来を教える。花の形が和太鼓の鼓に似ていることから、江戸時代には別名「鼓草(つつみぐさ)」と呼ばれていたたんぽぽ。しかし、通説ではある時から鼓を叩く音に派生して、現在の名前で呼ばれるようになったという。

 『らんまん』(NHK総合)第7週初日の放送では「タン、ポポンッ!」と文明開化の音が鳴った。

 前回、東京の根津で運命的な再会を果たした万太郎と寿恵子(浜辺美波)。2人は好きなもので部屋が溢れかえっている似た者同士だった。だが、万太郎にはそんなこと知る由もない。そもそも、まだ寿恵子がどんな家族構成でどのような家柄の人なのか、何もかも知らないままなのだ。植物の研究には前のめりだが、寿恵子に対しては「まだ自分は何者でもない」と慎重な姿勢を見せる万太郎。そんな彼をよそに、寿恵子の実態が少しずつ明らかになってきた。

 寿恵子が曲亭馬琴の小説『南総里見八犬伝』を読み、「尊い……!」と言葉にならない感嘆を漏らしているところに彼女の叔母であるみえ(宮澤エマ)がやってくる。どうやらみえは寿恵子の玉の輿を狙っているようで、この日もとびっきりの“良い話”を持ってきていた。

 良い話というのは、なんとダンスパーティーのお誘い。というのも、新政府の役人が集う新橋の料理屋で女将を務めるみえは、客として訪れた東京大学の教授からあることを頼まれていた。田邊はもうすぐ薩摩藩の中屋敷跡に完成予定の御殿で開かれる舞踏会の参加者を募っており、ぜひ寿恵子を連れてきてほしいというのだ。その御殿の名は「鹿鳴館」。誰もが一度は歴史の教科書でドレスとタキシードに身を包んだ男女が、そこでダンスを踊る絵を見たことがあるだろう。日本が文明国であることをアピールする目的で建てられた鹿鳴館は海外の要人を接待する社交場として賑わい、文明開化の象徴となった。

 

 そんな場所になぜ和菓子屋の一町娘である寿恵子が招かれたのか。それは、母のまつ(牧瀬里穂)がかつて花街の柳橋で一世を風靡した芸者だったからだ。そんなまつに似て、万太郎が一目惚れするほどの美貌を持って生まれた寿恵子なら、舞踏会で誰かに見初められる可能性は十分にある。それこそ、前回みえがまつに言ったように突然お姫様になれるかもしれない。だけど、実際に上級武士に見初められ、一度は何不自由ない暮らしを手に入れたまつにはそんなうまい話があるとは到底思えなかった。

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