鷹野が弁護人として南野に下した決断は、一生をかけて被告人の心を治療していきたいということだった。それは「弁護は治療」という彼の中にある正義が揺らがなかったことを意味する。鷹野が南野に留置所で接見した際に告げる、この物語の核心に迫る一言「キ・ム・ラ・ヒ・デ・ユ・キ」の絶妙な間、唇の震えも見事（一気にドス黒い悪を放つ千葉雄大も素晴らしい）だが、やはり特筆すべきは被告人である南野を本当の意味で救うことを選ぶ鷹野の弁護はシーズン1の名シーンである。弁護士として気丈に振る舞いながらも、声には一人の鷹野和也としての心情も垣間見える。その彼の中の揺れ動く天秤が演技にも反映されている、葛藤までが透けて見える名演だ。

　シーズン2では鷹野のほか、佐伯、杉村（北山宏光）、桐生（大政絢）、梅津（佐戸井けん太）といった師団坂法律事務所「ルーム1」の面々も続投。新たに中華料理店のウェイトレス・西園寺咲良（大原櫻子）が仲間入りとなる。鷹野と敵対する西園寺清隆（竹中直人）と同じ名字なのが気になるところ。さらに、鷹野には向き合わざるを得ない重大な出来事が起きるという。ワクワクしてきたぞ。

■放送情報
『正義の天秤 season2』
NHK総合にて、5月6日（土）放送開始 毎週土曜22:00〜放送【連続5回】
出演：亀梨和也、奈緒、北山宏光、大政絢、佐戸井けん太、大原櫻子、大島優子、竹中直人、中村雅俊、山口智子
原作：大門剛明
脚本：田辺満、井上季子
音楽：河野伸
制作統括：渋谷未来（ジ・アイコン）、真鍋斎（NHKエンタープライズ）、清水拓哉（NHK）
演出：片岡敬司、二宮崇
写真提供＝NHK