森七菜&出口夏希、同い年の2人が語り合う 『舞妓さんちのまかないさん』で得た信頼関係

 是枝裕和監督が総合演出として初めてNetflixとタッグを組んだことでも話題のNetflixシリーズ『舞妓さんちのまかないさん』。橋本愛、松岡茉優、常盤貴子、松坂慶子ら名だたるキャストが集結した本作でW主演を務めたのが、共に2001年生まれの森七菜と出口夏希だ。屋形のまかないさんとなるキヨを演じた森、舞妓として“百年にひとりの逸材”と将来を期待されるすみれを演じた出口の2人に、最初は人見知りで話せなかったというお互いの関係性や、京都での撮影、是枝監督の印象などについて話を聞いた。

森七菜×出口夏希、『舞妓さんちのまかないさん』を振り返る 2人の今後の展望は?

森七菜、出口夏希は「お芝居も人間性も信じられる」

ーー本作でW主演を務めることが決まったときの心境はいかがでしたか?

森七菜(以下、森):すごく嬉しくて、信じられなかったです。オーディションを何回かやったのですが、キヨ役を本当にやりたかったので、最初は「うわーっ、もう本当だめだ」と泣きながら歩いて帰っていました。なので、まさか本当に自分がやらせてもらえるなんて信じられなかったですし、オーディションのときよりもっとパワーアップしていかなきゃなと思って、料理の勉強とかを毎日頑張って撮影に挑みました。

出口夏希(以下、出口):2回目のオーディションのときに是枝(裕和)さんに呼ばれて、「出口さんに決めたいと思ってる」と言っていただいて。マネージャーさんより先に聞いたんです。そういうかたちで言ってもらったことが初めてだったので、自分でもどんな気持ちかわからなくて。「あ、ありがとうございます」って言ったのは覚えているんですけど(笑)、実感が湧きませんでした。その後、台本を読んだり稽古が始まったりして、ようやく大きな作品に出れるということの実感が湧いてきて、不安とプレッシャーがいっぱいになりました。

ーー森さんはまかないさんのキヨ、出口さんは舞妓のすみれを演じられています。それぞれの役柄の印象を教えてください。

森:原作漫画やアニメでは、キヨはどこにでもいそうな普通の女の子という印象だったんですが、キヨという人物を深掘りしていくと、どこにもいないような、すごく不思議な子で。なので、実写ドラマになって「こんな子いないよ」と思われてしまうのがすごく不安でした。人に対しての優しさとか、自分を後回しにするような献身的なところを、どうやったら気持ちよく観ていただけるかずっと研究しながら演じていました。毎日舞妓さんのためにご飯を作って、それを食べてもらって……ということを繰り返していると、私も自然とキヨの気持ちが理解できたので、実際に料理を作って、皆さんに食べてもらうことの繰り返しで、私もキヨに近づくことができた気がします。自分との共通点はほぼなかったと思いますが、そういう“食”とのつながりでどんどんキヨともつながることができたので、フードスタイリストの飯島奈美さんや是枝さんに感謝の気持ちでいっぱいです。

出口:すみれは本当に努力の天才で、周りからも“百年にひとりの逸材”と呼ばれるぐらいの女の子だったので、私とは似ても似つかないくらい、共通点が全くなくて。最初はわからないなりに自分との共通点を探してみたんですけど、どうしてもありませんでした(笑)。だからもう自分とは別の全く違う女の子だと思って演じていたんですが、撮影していくにつれて、負けず嫌いなところはすごく似ているなと思うようになりました。

ーーお二人は共に2001年生まれで同い年なんですよね。初共演の感想はいかがでしたか?

森:最初は全くつかめなくて、「どういう人なんだろうなぁ……」ってずっと思っていて。普段そういうことはしないんですけど、何か一歩踏み出さなきゃと思って、柄にもなく連絡先を聞いて、一生懸命距離を詰めようとしました。でも実際に撮影に入ると、3カ月半ぐらいずっと京都で撮影していたので、自然と距離が近くなったような気がして。一番いい形で仲良くなれたし、夏希ちゃんは本当に嘘がなくて裏がないから、お芝居も人間性も信じられるんですよね。一緒にお芝居をやっていて、お互いパってはまった瞬間に、すごく気持ちいい瞬間があるんです。本当の気持ちで言い合えることがすごく多かったんですが、それは全員と一緒にできることではないので、夏希ちゃんに対してすごくありがとうって思っています。

出口:うわー、こちらこそです! おおきに~(笑)。

森:おおきに~(笑)。

出口:七菜ちゃんは、オーディションで初めてお会いしたときと、撮影に入ってからで、全く別人な感じがしました(笑)。オーディションでは1回も目が合っていないんじゃないかっていうぐらい、お互いがすごく人見知りで。本読みをしたときも、隣に座ってるのに、お互いが下を向いちゃって。お互い探り探りで、「話しかけようかな、どうしようかな……」ってすごい伝わってきて(笑)。そういう感じで始まったんですけど、実際撮影に入っていくと、七菜ちゃんがすごくナチュラルで(笑)。七菜ちゃんも嘘がなくて、裏がない感じで接してくれて、気づいたら横にいて違和感がない関係になっていたと思います。おおきに(笑)。

森:おおきに(笑)。

ーー共演には、橋本愛さん、松岡茉優さん、常盤貴子さんなど錚々たる方々が揃っています。

森:皆さん本当に綺麗で、お芝居も素晴らしいし、余すことなく完璧なはずなのに、全然飾らなくて。面白いことがとにかく好きな方々だったので、一緒にいてすごく楽しかったし、現場の雰囲気もすごく良かったです。初めて映画に出るような人たちもアドリブを仕掛けたりできる現場でした(笑)。それがすごく楽しかったし、反応する先輩方を見て、すっごく心が踊りました。「あぁ、これも全部皆さんのおかげだろうな」と毎日ありがたく過ごしていました。

出口:私からしたら本当に大先輩の皆さんだったので、さっき七菜ちゃんも言ったように、本当に飾らずというか、私たちが話してる中に“おかあさん”たちも入って一緒に大爆笑してくれたり、たくさん話しかけてくれて、本当に“おかあさん”だと思ったし、それが本当に嬉しかったです。あと、稽古のときから一緒にいる時間が一番長かった橋本(愛)さんは、すごく尊敬できる先輩です。

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