『舞いあがれ!』悠人にとって久留美は「舞の大事な友達」 台風の夜に流れた2人の時間

 『舞いあがれ!』(NHK総合)第109話では、キャリアアップを模索している久留美(山下美月)が、舞(福原遥)に「お父ちゃん1人にでけへんやろ? もう年やし、置いていかれへんなって」と思いを打ち明ける。久留美の笑顔は、父・ 佳晴(松尾諭)を心配するあまり、自分のやりたいことを抑え込もうとしているように見える。そんな折、酔っ払った佳晴が悠人(横山裕)に抱えられながらカフェ「ノーサイド」に入ってきた。

 第109話では、久留美が自分のやりたいことのために一歩を踏み出す。

 悠人の手助けもあり、久留美は佳晴を無事に家へと連れ帰った。悠人は台風の中を帰ろうとするが、停電が起きてしまい、久留美は悠人を引き留める。舞が新しい会社で作ったランプを眺めながら、久留美と悠人は言葉を交わす。久留美が悠人の話を聞いていると、ふと「俺のことはええねん。そっちはどうなん? 何か悩んでるみたいやけど」と返される。久留美は微笑みを湛えた表情が印象的だが、自分が抱えている不安や悩みの話になると視線を落として少し寂しげに笑う。久留美は新たなキャリアを目指したいと口にしながらも、「でも、今の病院でやれることいっぱいあるから……」と自分に言い聞かせるように打ち明けた。

 そんな久留美に悠人は、佳晴が「久留美が何か悩んでる」「けど何も相談してくれへん」と話していたことを伝えた。久留美は悠人の言葉を通じて、佳晴の思いを知る。久留美が佳晴について話すとき、演じている山下美月が見せる心配そうな面持ちから、大切な人の幸せを願う久留美の溢れんばかりの優しさが伝わってくる。とはいえ、悠人が久留美に伝えたように、久留美が自分のやりたいことに一歩踏み出すためには、父を信じ、自分の幸せを考えることも重要だ。悠人から「おやじさんのこと、もうちょっと信用したって」「自分の幸せを考えて、前に進んだ方がええ」と言われた久留美の、穏やかながらもハッとさせられた表情が心に残る。

 悠人の言葉に背中を押され、久留美は真正面から佳晴と向き合った。「フライトナースになるために長崎の病院の面接受けたい」という久留美に、佳晴もまた正直に「危ない仕事ちゃうんか」「心配やわ」と伝える。「けど、挑戦してみたい」と思いの丈をぶつけた久留美に、佳晴はこう返答した。

「やりたいんやったらやったらええ」
「お父ちゃんも頑張る。せやから久留美もがんばれ」

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