『女神の教室』が明示した“天秤”に込められた真の意味 未来を見据えた前田拳太郎の言葉

 もっともこれは、彼らロー生のような司法試験に限った話ではなく、大学生の就職活動や高校生の大学受験のように、ある種決まりきったレール上に自動的に設定されたあらゆる仮のゴール全般にも通じることであろう。その先にどんな選択をすることができるのか、未来が見えなければ、がむしゃらにそこへ向かっていっても結局行き詰まるだけだ。とはいえ、そんな実務演習の授業を受ける前に、水沢(前田拳太郎)はもう自分の未来が見えているような言葉を照井に向けて投げかけていたではないか。「司法試験なんて俺たちにとってはただの通過点」だと。

 終盤で守宮(及川光博)は、藍井から実務演習クラスの5人の顔つきが変わったことを聞かされ、「司法試験のその先を見据えているからかもしれませんね」と語る。そして知識を得ること、それを使う力、そのために必要となる人間性を育むことができるロースクールの必要性を説く。そこで改めて告げる、柊木と藍井の2人が必要だという言葉。「天秤のようにバランスの取れた双方の力」。このドラマのタイトルである『女神(=テミス)の教室』は、“柊木の”ではなく“柊木と藍井の”教室であるということが、ここに明示されたわけだ。

■放送情報
『女神の教室~リーガル青春白書~』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:北川景子、山田裕貴、南沙良、高橋文哉、前田旺志郎、前田拳太郎、河村花、佐藤仁美、宮野真守、小堺一機、尾上松也、及川光博
脚本:大北はるか、神田優
プロデュース:野田悠介
演出:澤田鎌作、谷村政樹
音楽:武部聡志
主題歌:Vaundy「まぶた」(SDR)
法律監修:水野智幸(法政大学大学院法務研究科)
制作・著作:フジテレビジョン
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