2023年、京アニはさらに盛り上がる! 『ツルネ』『響け!ユーフォニアム』に通じる魅力

 繊細な線で描かれた作画と、キャラクターの丁寧な心理描写で国内外から絶大な人気を誇るアニメ制作会社「京都アニメーション」(以下、京アニ)。京アニといえば、夢に向かって頑張る少年少女たちの絆の成長を感じられる、青春物語を思い浮かべる人も多いだろう。『涼宮ハルヒの憂鬱』『けいおん!』『らき☆すた』など、テレビアニメや映画で多くのヒット作を生み出している京アニだが、2023年に再び、盛り上がりをみせると予想している。

 現在放送中の『ツルネ -つながりの一射-』は、京アニ作品の良さを再確認させられる作品となっている。1月からテレビアニメ第2期がスタートした『ツルネ』シリーズ。本作で描かれるのは、弓道によって出会う高校生たちの物語だ。性格も弓道との出会い方も異なるキャラクターたちが織りなす青春は、爽やかでありながらも時折切なさを感じさせる場面も。まさに京アニの得意とする、学園生活の中をもがき続ける少年たちの心情描写が活きる作品である。

TVアニメ『ツルネ -つながりの一射-』PV第2弾

 『ツルネ』シリーズは、弓道ならではの「袴が擦れる音」や「弦から弓が放たれる音(弦音=ツルネ)」など、臨場感のある音の演出にも京アニの工夫が垣間見える。作品を通じて初めて弓道の世界を知る人も、“弓道を好きになる”、そんな作品が『ツルネ』なのだ。作品にまつわる幅広い知識をキャラクターと共に学んでいくことで、次第に物語の解像度の高さが上がっていくのも、京アニ作品の楽しさと言えるだろう。

『ツルネ』は第2期からでもまだ間に合う! 京アニの真髄が詰まった“つながり”

ピンと張り詰めた静謐な空気の中で、弦音が響き、的に中る(あたる)。「よーし」という掛け声があがると、まるで本当に弓道の試合を観客…

 また作中に登場する、弓道場や公園、学校などは、長野県や石川県にある実際の施設がモデルになっており、聖地巡礼を楽しむこともできる。

 このように京アニがこだわるリアルな作品世界の作り込みは、『ツルネ』以外の作品にも共通している。

 2023年から再始動する『響け!ユーフォニアム』シリーズも、そうしたリアルな作品のひとつだ。『響け!ユーフォニアム』シリーズでは、2015年のTVアニメ放送開始から高校吹奏楽部の青春を描いてきた。演奏シーンの細やかなタッチの作画と、吹奏楽部員たちの熱い想いが観る者の心を揺さぶる。

『響け!ユーフォニアム』が守る古典的な映画らしさと、ドラマツルギーをあえて外す挑戦的姿勢

『響け!ユーフォニアム』というシリーズについて全く知らなかったのですが、昨年『リズと青い鳥』を観に行きました。きっかけは京都アニ…

 筆者は、本作を初めて観たとき、あまりにリアルな“吹奏楽あるある”の詰め込み方に強い衝撃を受けた。それは学生時代を吹奏楽部員として過ごしたためで、メトロノームのカチカチとなる音や、机を1年生が運び出すさまと、自分の青春の記憶がシンクロするほど、リアリティに満ちている。

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