『ガンニバル』柳楽優弥への“3つの忠告”とあらわになる“過去” 正義感が波紋の引き金に
後藤家に単身乗り込み、背後から“あの人”と呼ばれる大男から鎌で襲われた大悟(柳楽優弥)が回想する、刑事時代の記憶。それはつまり大悟が供花村へと左遷されるきっかけとなる“過去”である。被疑者への暴力も厭わない気性の荒い刑事だった大悟は、管轄内で起きた児童への強制わいせつ事件の被疑者の男が娘のましろ(志水心音)に特別な感情を抱いていることを警戒。張り込み中にましろが男の部屋を訪ねてきたことからその場に乗り込んでいき、男がましろにカッターナイフを向けると躊躇なく射殺する。
1月4日に配信されたディズニープラス「スター」オリジナルシリーズ『ガンニバル』の第3話では、供花村を包み込む不穏な空気に斬り込もうとする大悟の内面を描くことで、このドラマの主人公たる彼の人物像がより強固なかたちで浮き彫りにされていく。病院で目を覚ました大悟は、恵介(笠松将)が“後藤家のなかでも乱暴な人たち”から有希(吉岡里帆)たちを守ろうとしていたと聞かされる。さらに大悟を襲った人物が自首したというのだが、長身で獣のにおいを漂わせた“あの人”の姿を目撃していた大悟はその言葉を疑う。そして有希たちを警察に保護してもらい、再び後藤家と対峙することを決心するのである。
第1話で家から抜け出したましろがどこからか持ってきた、人の指。鑑定を依頼された中村(小木茂光)は、それが前任の駐在の狩野(矢柴俊博)のものであること、そしてそこに人間の唾液が付着していた事実を大悟に伝えようと留守電に入れるのだが、大悟の携帯電話を入手した後藤家の睦夫(酒向芳)たちに気付かれ、拷問にかけられる。つまりまだ大悟のなかでは、駐在所の前で有希に話す内容からもわかる通り、あの指が狩野のものである可能性を疑っているのみで、まだ確信には至っていないわけだ。
そんな大悟に3人の人物から、3つの忠告がなされる。恵介からの「まだ自首していない奴らがなにをしでかすかわからない」の言葉。狩野の娘であるすみれ(北香那)からの「あなたはなにも失わないといいんだけど」。そして供花村出身の警察署長(利重剛)からの「後藤家には手を出すな」。それらはまるで、その後に待ち受ける激烈なシーンへのフラグ立てのように機能する。パトカーに送迎されながら中村の病院へと向かう大悟を襲う、睦夫を筆頭とした後藤家の3人との対峙シーンだ。