『鎌倉殿の13人』を“生きた”人々に思いを馳せて 現代へと繋がる“希望”を描いた最終回

 「この先の人は、私たちのことをどう思うのか」と話す政子と義時。遡れば、後の世にどう語り継がれるかで、義経(菅田将暉)と自分を比較する梶原景時(中村獅童)や、「命を惜しんで泥水啜って」生きるより、誇りを守ろうとした畠山重忠(中川大志)。彼らは、ただ生きるというのではなく、「歴史という大きな流れの中にいる自分」という感覚を忘れなかった。

 死は無ではない。死んでいった13人の血生臭い物語は、暗殺者・善児(梶原善)が気まぐれに殺さなかった孤児・トウ(山本千尋)が武芸を教えることになる13人の「戦さで親を亡くした子たち」という形で、一転希望へと転じる。そしてそのエピソードは、かつて身寄りのない子供たちを一手に引き受けていた八重(新垣結衣)のことを思い起こさせる。

 八重が自分の命に代えて救った孤児の少年は、川で再び「誰かに守られ」、八重にも義時にもよく似た息子・泰時を守る従者・平盛綱(きづき)として、この先の世を生きていく。泰時は、面と向かっては口にせずとも、「父上が死に物狂いでやってきたことを無駄にせず」、かつて実朝(柿澤勇人)と夢見た時のように、「新しい世」を作っていこうとしている。

 死者は「希望」である彼らの内部に、確実に根付いている。だから最終回は、あらゆる悪や不幸や災いの末に残され、芽吹いた「希望」の物語だった。そしてそれは、冒頭に描かれた次期大河ドラマ『どうする家康』の主人公・徳川家康(松本潤)の時代へと繋がり、もっと先の、私たちの生きる現代へと繋がっていくのである。

脚本家・三谷幸喜の真髄がここに 『鎌倉殿の13人』特集

作品のタイトル、および主演・小栗旬が発表されたのは2020年の1月8日。歴代の大河ドラマの中でも人気作である『新選組!』『真田丸…

■放送情報
『鎌倉殿の13人』総集編(全4章)
NHK総合にて、12月29日(木)13:05~17:40 放送(中断ニュースあり)
主演:小栗旬
脚本:三谷幸喜
制作統括:清水拓哉、尾崎裕和
演出:吉田照幸、末永創、保坂慶太、安藤大佑
プロデューサー:長谷知記、大越大士、吉岡和彦、川口俊介
写真提供=NHK

関連記事