原作超えの演出も? 『SPY×FAMILY』に散りばめられた絶妙なアニオリ描写を解説

 第17話「ぐりほんさくせんを決行せよ」では、SNSで「顔芸」とも呼ばれているアーニャの表情が印象的だ。ダミアンとのなかよしさくせんを頭の中で思い描いたアーニャは、悪巧みの表情を見せる。原作にもアーニャの悪巧みの表情はあるがもっと弱め。アニメではさらに悪い表情に仕上げられており、SNSでも話題となっていた。そのほかにも第17話では、作戦が思っていたようにならなかったアーニャがショックを受けるシーンが原作よりも強調されている。アーニャの表情はアニメでは強調されていることが多く、それが「顔芸」と呼ばれる要因である。

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 『SPY×FAMILY』は原作の流れに沿ったアニオリが多いが、時には大胆なアニオリを取り入れることもある。

 1クール目の第3話と第5話は、実に半分もの内容がアニオリで構成されていた。第3話ではヨルがフォージャー家に引っ越してきた際に家の中を案内するアーニャの姿、ロイドを交えての3人の会話のシーンがアニオリだ。第5話ではアーニャの希望で古城を貸し切って「たすけあいごっこ」をするが、アニメではロイドのアクションシーンが大幅に追加されている。特に第3話のアニオリは原作にあっても全く違和感がない出来栄えで、筆者は本当にアニオリなのか不安になり原作を読んで確認したほどである。

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毎週土曜にテレビ東京ほかで放送中のTVアニメ『SPY×FAMILY』。このたび、星野源の楽曲「喜劇」を使用したエンディングアニメ…

 本作ではさまざまな形でアニオリを取り入れているが、共通しているのはどれも原作の良さを引き出すものだということだ。本作のアニオリは、演出的な側面が大きい。原作にないセリフや表情、シーンによってキャラクターの内面的な魅力が引き立ち、感動的なシーンはより感動できるものになっている。原作に忠実ながらアニオリを積極的に取り入れたことで、アニメから観始めた人はもちろん、原作を読んでいる人も違いを楽しみながら観れるようになっているのだ。

 こういった作り方ができるのは、アニメ製作陣が『SPY×FAMILY』の魅力を十分理解しているからに他ならない。もともと『SPY×FAMILY』は原作人気が非常に高い作品のため、アニメが話題になるのは当然のように思える。しかしアニメが注目されているのは『SPY×FAMILY』の魅力を理解した上で取り入れられているアニオリも要因のひとつだ。アニメ『SPY×FAMILY』は今後どのようにアニオリを交えて描いていくのか、引き続き注目して観ていきたい。

■放送情報
『SPY×FAMILY』
テレビ東京ほかにて、毎週土曜23:00~23:30放送
原作:遠藤達哉(集英社『少年ジャンプ+』連載)
監督:古橋一浩
出演:江口拓也、種﨑敦美、早見沙織、吉野裕行、甲斐田裕子、山路和弘、小野賢章、藤原夏海、加藤英美里
キャラクターデザイン:嶋田和晃
総作画監督:嶋田和晃、浅野恭司
助監督:片桐崇、高橋謙仁、原田孝宏
色彩設計:橋本賢
美術設定:谷内優穂、杉本智美、金平和茂
美術監督:永井一男、薄井久代
3DCG監督:今垣佳奈
撮影監督:伏原あかね
副撮影監督:佐久間悠也
編集:齋藤朱里
音楽プロデュース:(K)NoW_NAME
音響監督:はたしょう二
音響効果:出雲範子
制作:WIT STUDIO×CloverWorks
©遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会
公式サイト:https://spy-family.net/
公式Twitter:https://twitter.com/spyfamily_anime
公式LINE:https://lin.ee/evp4YiJ
公式Instagram:https://www.instagram.com/spy_family_official/

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