『舞いあがれ!』福原遥と重なる若き日の永作博美 大団円を迎えた“母と娘”のドラマ

 五島にいる舞(福原遥)を浩太(高橋克典)とめぐみ(永作博美)が迎えにきた。『舞いあがれ!』(NHK総合)第34話では舞が両親と対面する。

 パイロットになりたいと言う舞に、めぐみはせめて大学を卒業してからと反対し、そんな中でいなくなった貴司(赤楚衛二)を探しに舞は五島を訪れる。五島の空と海に触れた貴司は大阪に帰り、久留美(山下美月)は母親に会うため福岡へ向かった。「みじょカフェ」をオープンしたさくら(長濱ねる)が舞に会いたがったり、一太(若林元太)の早とちりで木戸(哀川翔)がお祝いの鯛を持ってきたりと、五島の人々は相変わらずにぎやかだが、舞自身はどこか落ち着かない。両親が五島に来ると聞いていたからだ。

 木戸から、祥子(高畑淳子)が浩太とめぐみの結婚に反対していたと聞いた舞は、祥子にその理由を尋ねる。当時、めぐみはまだ20歳で学生だった。浩太を支えると言うめぐみに、祥子は「世間知らずのお前にできるわけなか」と切り捨てる。けれども、めぐみの決心は変わらなかった。「勝手にせれ! 二度と帰ってこんでよか!」と祥子は激高し、それが母と娘の別れになった。「苦労することはわかってたけん。黙って送り出すことやできんかったとさ」と祥子。娘が辛い目に遭うと知っていたからこその言葉で、めぐみにもその気持ちは伝わっていたが、行き場のない感情は反発する以外になかった。

 目標を持って大学に行ったのに、夢のため途中で辞めようとしためぐみの状況は、今の舞とそっくりだ。祥子を通して知るめぐみの真実を、舞はどんな気持ちで聞いただろうか。舞がめぐみの思いに触れたように、めぐみも貴司のことを聞いて舞の姿が脳裏をよぎっただろう。そして祥子が見守るそばで、舞とめぐみ、浩太は久しぶりに向かい合う。

 最初に切り出したのは舞。「パイロットになりたい気持ちは変わらへん」と話す舞に、浩太は、飛行機を作る夢はもうないのかと尋ね、めぐみは「お母ちゃんが心配してんのは、舞がパイロットに向いてるって思われへんことやねん」と率直に不安をぶつける。人命を預かる責任の重さと、男社会で女性が道を切り拓く困難さをめぐみは指摘する。「苦労するのが目に見えてる」から、舞にパイロットになってほしくない。大学を卒業してからというのは口実で、本当は心配でならないのだ。

 口を開いた舞は、まっすぐにめぐみを見ながら、自分の言葉で一つずつ説明していった。「せやから挑戦したいねん。(中略)パイロットはみんなの期待背負って飛ばなあかん。失敗したら自分のせいや。けど、空飛んで楽しかった。涙が出るくらい嬉しかった」と、パイロットを目指す理由を述べる。続いて「旅客機のパイロットになることは大変かもしれへん。(中略)責任が重い、厳しい仕事や。けど私、そういう思いもしっかり背負って飛べる人になりたい」。そう話す舞の目は輝いていた。

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