佐藤健と新田真剣佑がぶつかり合う 『るろうに剣心 最終章 The Final』縁は何を物語る?

 私たち観客/視聴者は令和の時代を生きているが、深く大きな個人的な憎しみが社会全体を揺るがすことを知った。剣心と縁の関係を、純粋なエンターテインメントとして手放しで楽しむことはもう少し難しいのではないだろうか。曇った眼で縁がしようとしていることは、彼自身と同じような人々を新たに生み出すことに確実に繋がる。マンガ原作のフィクショナルな活劇だが、本作と日本のいまの社会とを照らし合わせてみることで見えてくるものもあるだろう。果たして縁の姿は何を物語るだろうか。

 本作では、“すべてのはじまり=剣心の過去”を描く第5作『The Beginning』のヒロインである巴が初めて本格登場する。主演の佐藤健と縁役の新田真剣佑による“心・技・体”の壮絶なぶつかり合いももちろん大きな見どころだが、有村架純が演じる巴の儚い姿も重要。出番は多くはないが、たびたび映し出される彼女の表情が、そしてその声が、縁の悲しみと怒りを完全なものとしている。

 『伝説の最期編』まで剣心の中にあった「不殺の誓い」に対する迷いは、本作にはもうない。であれば、この作品における剣心の苦悩とはなんなのか。本当の最終作である『The Beginning』に向けて、彼の内面に迫ってほしい。それができるのが、この『The Final』なのである。

■放送情報
『るろうに剣心 最終章 The Final』
日本テレビ系にて、10月14日(金)21:00〜放送
監督・脚本:大友啓史
出演:佐藤健、新田真剣佑、武井咲、江口洋介、青木崇高、蒼井優、伊勢谷友介、土屋太鳳、三浦涼介、音尾琢真、鶴見辰吾、中原丈雄、大西利空、阿部進之介、栁俊太郎、丞威、成田瑛基
アクション監督:谷垣健治
音楽:佐藤直紀
原作:和月伸宏『るろうに剣心 –明治剣客浪漫譚-』(集英社ジャンプ コミックス刊)
©︎和月伸宏/集英社 ©️2020映画「るろうに剣心最終章The Final」製作委員会

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