『舞いあがれ!』高畑淳子が“ややぶっきらぼう”お婆ちゃんに 3話目で舞台は五島列島へ

 『舞いあがれ!』(NHK総合)第3話では、めぐみ(永作博美)が病気がちの舞(浅田芭路)を連れて、15年ぶりに五島列島へ向かう。フェリーを降りると、そこにはめぐみの母・祥子(高畑淳子)が迎えに来ていた。初めて祖母と出会った舞だが、言葉の少ない祥子に怒っていると感じてしまう。けれど、めぐみと祥子が向かい合って言葉を交わす場面を見ると、怒っているわけではないことはすぐに分かる。

 めぐみが気まずそうにしながら自身の近況を伝えていると、祥子は「元気でやっとるちゅうとは知っとった」と返す。浩太(高橋克典)が毎年年賀状を送っていたのだ。めぐみと言葉を交わす祥子の口元はかすかに微笑んでいて、どこかホッとしたような表情にも見えた。めぐみから直接、近況を聞くことができて安心したのかもしれない。舞とめぐみを迎えに来たときよりも柔らかく見えるその表情からは、めぐみと舞を受け入れる祥子の優しさが垣間見える。めぐみが舞について「あん子、人一倍気持ちが繊細やけん。せかさんと、ゆっくりやらせてあげたかとです」と話しているとき、祥子はめぐみの話にじっくりと耳を傾けていた。舞を思うめぐみの言葉を真摯に受け止めていたはずだ。

 祥子は、めぐみのように笑みを絶やさない人物ではないだろうし、話す言葉はややぶっきらぼうに聞こえる。けれど、高畑の演技から、祥子が決して相手を突き放すような人物ではないことが分かる。第2話でめぐみが祥子に電話したときには、「来たかったら、来ればよか」とそっけなく返していたが、受話器を置いた後、15年ぶりに娘と会えるという思いがけない出来事に少し戸惑っているように見えた。フェリーから降りてきた舞とめぐみを見据える姿は堂々としており、めぐみと向かい合う祥子の佇まいも悠然としているが、威圧感を与えてはいない。高畑は、舞が怒っていると感じてしまうような祥子の人物像を演じつつも、祥子の胸中にはめぐみと舞を思う優しさがあること、めぐみと同じく家族愛にあふれた人物だということを、表情などでさりげなく見せている。

 物語終盤、めぐみの幼なじみ・信吾(鈴木浩介)が現れた。めぐみとの久しぶりの再会に喜ぶ信吾の姿を見て、めぐみも笑顔になる。舞が五島で最初に知り合った少年・一太(野原壱太)は信吾の一人息子だった。朗らかな信吾と元気な一太のやりとりを見る祥子の表情は明るい。普段から祥子と家族ぐるみでつきあっていることがうかがえる。信吾はめぐみが帰ってきた理由を聞くと、「うちん子たちと仲良うすればよかたい。なあ、一太」「およ!」と一太とともに明るく話す。

 舞の五島での暮らしが始まった。15年ぶりに帰ってきためぐみを無条件に受け入れる祥子、そして朗らかな信吾と一太は、舞とめぐみにとって心強い存在になりそうだ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、吉谷彩子、鈴木浩介、高畑淳子ほか
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number 「アイラブユー」
制作統括:熊野律時、管原浩
プロデューサー:上杉忠嗣
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐ほか
主なロケ予定地:東大阪市、長崎県五島市、新上五島町ほか
写真提供=NHK

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