『監察医 朝顔』が描き続ける未来への希望 上野樹里演じる朝顔に再び会えることを願って

 上野樹里が主演を務める『監察医 朝顔』(フジテレビ系)が帰ってきた。

 第1シーズン(2019年7月~9月)、第2シーズン(2020年11月〜2021年3月)と数えて4年目を迎える本作。1年半ぶりのキャスト集結となった今回の『監察医 朝顔2022スペシャル』では、劇中でも同じ月日が流れている。

 第2シーズンは亡くなった里子(石田ひかり)との再会、アルツハイマー型認知症となった平(時任三郎)、次女・里美の誕生といった大きな出来事が、朝顔(上野樹里)や桑原(風間俊介)、つぐみ(加藤柚凪)の周りで起きていた。そこから1年半が経ち、桑原は課長に出世し、異動先の神奈川県警から野毛山警察署にカムバック。桑原に先を越されてしまった“係長”の山倉(戸次重幸)をはじめとする署の面々に、朝顔が勤める法医学教室のメンバーも和気あいあいと勢揃い。2つのスリリングな事件を描きながら、その裏にある朝顔たち家族の日常が映し出されていく。

 前シーズンで幼稚園に通っていたつぐみは小学校へと入学。総ちゃんという彼氏の存在をにおわせる、桑原も気が気ではないお姉さんとなった。その一方で里美にママとパパを取られたと嫉妬心を滲ませるようになっていた。そこに重なる平の進行し続ける認知症。家族は静かに限界を迎えていた。小さなほころびをきっかけにして、つぐみは大声で泣き叫んでしまう。

 涙なしに観られなかったのは、つぐみが平の部屋に駆け込んでいくシーンだ。第2シーズンでは、朝顔たちと約束した家族旅行、居間に設置した“ごめんばこ“の続き、つぐみと里美と3人で寝る約束、自分が自分で録音した里子との思い出話を聞く老後と、平にとってのこれからに向けた希望が示されていた。それはつぐみにとっても大好きなじいじとの約束であったが、病気は隠し通すことのできないレベルにまで達していた。つぐみを焦らせたのはたまたま目にしてしまった老人ホームの案内だ。「早く病気を治さないと、じいじ遠いところに連れてかれちゃうよ。そしたら、離れ離れだよ。寂しいでしょ」ーー演じる加藤柚凪はこの1年半の間で、『カナカナ』(NHK総合)、『家庭教師のトラコ』(日本テレビ系)といった作品でも活躍していたが、やはり『監察医 朝顔』での“つぐみちゃん“のイメージは多くの視聴者に浸透しているのだろう。「つぐみちゃん」は瞬く間にTwitterのトレンド入り。この1年半の月日の経過を最も感じさせたのは彼女の演技の成長だったのかもしれない。

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