『ちむどんどん』暢子にとって理想のパートナー矢作 和彦とのスタンスの違いが浮き彫りに
一方で、そんな暗黒時代があったからこそ、矢作は独立した暢子の支えになっているといえるだろう。困ったときは助け合う、家族的なつながりで色んな危機を乗り越えてきた暢子に矢作は厳しい現実を教えてくれる。
彼がしっかり権利を主張するのも、優しい人ばかりじゃない世界で生きてきたからこそ。けして暢子を甘やかさない矢作の姿勢は、第三者からみれば誤解されることもある。
だけど、暢子はその存在意義をしっかりと認識し、融資の返済金を盗んだ疑いがかけられた彼を信じた。優しい世界に身を置いてきた彼女の存在もまた、矢作を救っている。正反対の環境で生きてきたからこそ、互いの足りないところを埋め合うことができる。実に理想的な関係だ。
そんな2人の姿を見て、暢子の夫である和彦(宮沢氷魚)の立場がないと思う人もいる。「手伝おうか?」と優しく気遣ってくれる和彦より、基本は厳しいけど、いざとなったら黙って手を貸してくれる矢作の方にみんな心惹かれるのやもしれない。
和彦と暢子の場合は同じような人生を歩んできた似た者同士だ。だから基本的に考えは一致しているし、何かを教え合う関係ではない。家族だけど、和彦は新聞記者として、暢子は料理人として別々の道を歩んでいる。
でもその間に壁はなく、2人は励まし合いながら自分の道を進んでいく。自分を信じて応援してくれる和彦がいるからこそ、暢子は歩みを進められるし、自分以外の誰かを信じることができるのだ。
それに和彦と暢子の夢はどちらも、幼い頃ともに過ごした沖縄での思い出に繋がっている。互いの夢を応援し合える人生のパートナーがいて、自分の夢をサポートしてくれる仕事のパートナーがいて、暢子はなんて幸せなヒロインなのだろう。
■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK