『初恋の悪魔』は菅生新樹の飛躍の足がかりに？　菅田将暉や兄弟俳優のケースから考える

　デビュー発表後まもなく、エンタメ界の話題をかっさらっている菅生。6つ歳が離れている兄・菅田将暉のキャリアは、2009年の『仮面ライダーW』（テレビ朝日系）からスタート。演技未経験だった彼を主演に抜擢した理由について、同シリーズのプロデューサーである塚田英明氏は「フツーの高校生でしたが、ピュアさが際立っていた」と振り返っている（※）。

　“ピュアさ”、それこそが菅田の俳優人生を紐解く重要なワードではないだろうか。映画『あゝ、荒野』で演じたプロボクサーを目指す少年院上がりの青年や、ドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』（日本テレビ系）で演じた生徒たちを人質にして教室に立てこもる教師にも、ゾッとするような恐ろしさの中にキラリと光る宝石のような純真さがあった。菅田の役に対する没入ぶりもまた狂気を感じさせるほどだが、目を逸らしたくとも逸らせない吸引力がある。いまや菅田は名実ともに日本を代表する俳優であり、必然的にその弟である菅生にかけられるプレッシャーと期待は大きい。

　やはり親や兄弟に有名人を持つ存在は世間の注目度が高く、過去には新田真剣佑の弟・眞栄田郷敦が2019年に日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』（TBS系）で同様なドラマデビューを果たしている。大泉洋率いる成績低迷中の社会人ラグビーチーム・アストロズの切り札となる期待の新人としてその存在感を発揮した。その後、『プロミス・シンデレラ』（TBS系）で回を追うごとに可愛さを増していく生意気な御曹司の男子高校生を演じ、女性視聴者の心を射止めた眞栄田。

　今年4月期に放送された『カナカナ』（NHK総合）では主演、さらに10月から始まる『エルピス―希望、あるいは災い―』（カンテレ・フジテレビ系）でも長澤まさみ、鈴木亮平とともにメインキャラクターを演じることが決まっている。その活躍に応じて、“新田真剣佑の弟”という肩書きは徐々に消え去っていった。他にも上白石萌音・萌歌、永山瑛太・絢斗、広瀬アリス・すずなど、兄弟・姉妹で活躍する俳優は数々。いずれも代替が効かない独自の魅力で日本エンタメ界を支える存在となっている。そこにやがて加わるであろう菅生の唯一無二の輝きと個性を、今夜放送される『初恋の悪魔』で見つけたい。

参照

※. https://jisin.jp/entertainment/interview/1615929/

■放送情報
『初恋の悪魔』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00～22:54放送
出演：林遣都、仲野太賀、松岡茉優、柄本佑、佐久間由衣、味方良介、安田顕、田中裕子、伊藤英明、毎熊克哉
脚本：坂元裕二
演出：水田伸生ほか
プロデューサー：次屋尚ほか
チーフプロデューサー：三上絵里子
制作協力：ザ・ワークス
製作著作：日本テレビ
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