『ちむどんどん』が描き続ける“幸せになること”の重要性 二ツ橋が飲食業の難しさを説く

 暢子(黒島結菜)の沖縄料理店「ちむどんどん」がオープンして早3カ月が経った。最初は大盛況だったが、客足は遠のくばかり。連続テレビ小説『ちむどんどん』(NHK総合)第22週が幕を開け、売り上げを取り戻すために悪戦苦闘する暢子の姿が描かれた。

 「アッラ・フォンターナ」を辞めて独立し、雇われる側から雇う側になった暢子。そんな彼女は何よりも、料理人として雇った矢作(井之脇海)に給料を払えなくなることを心配する。経営者である以上、従業員の生活を守ることは当然の義務だ。「1日でも給料が遅れたり、きっちり全額もらえねえなんてことがあったら俺は即辞める」という矢作の主張は正しい。

 そんな矢作と対照的に描かれていたのが、智(前田公輝)だ。暢子から渡された先月分の仕入れ代を智は受け取ろうとしない。それは彼の中に「困った時はお互い様」という気持ちがあるからだろう。一見美しい助け合いの精神だが、後々トラブルにもなりかねないし、根本的な解決にはならない。矢作が暢子を一切甘やかさず、耳の痛いことも言ってくれるのはある意味優しさでもある。

 だが、そんな矢作に対して、暢子はカッとなって「うちは(お店を潰した)矢作さんとは違います!」という言葉を吐いてしまう。どんどん心に余裕がなくなり、食欲もぐんと落ちてしまった暢子。彼女を支えるのは、その場にいるだけで雰囲気を和らげてくれる歌子(上白石萌歌)の存在だ。

 歌子は暢子の気持ちに寄り添いながらも、「あれは言い過ぎ」と客観的な立場から間違ったことを指摘してくれる。そのおかげで暢子はすぐ矢作に謝罪することができた。矢作も「謝ることができるお前は大したもんだ」と暢子を認めてくれる。

 そういえば、以前に似たような出来事があった。それは「アッラ・フォンターナ」時代、怪我をした二ツ橋(髙嶋政伸)の代わりに暢子がストーブ前を任された時のこと。暢子が他の料理人たちに舐められないようにと傍若無人に振る舞った結果、厨房の空気は最悪なものとなった。そんな中、暢子は母・優子(仲間由紀恵)の言葉から自分の良さは「ありがとうと、ごめんなさいが言えること」だと気づく。つまりは素直さだ。

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