『オールドルーキー』福山翔大がパラアスリート熱演 スポーツが紡ぐ純度の高い人間ドラマ
挑戦する環境を整えた吉木の最後に残された課題は、身体の一部である車いすだった。一度は切り捨てたパートナー企業の矢部(津田健次郎)に頭を下げて、体にしっくりくる車いすを選んだ。吉木が去っていくとき矢部は吉木を責めなかったし、復帰すると決めた吉木は素直に自身の非を詫びた。自身が多くの人に支えられていることを吉木はわかっていて、一方で矢部は高みを目指すため吉木が妥協できないことを理解していた。矢部の「誰よりもお前のことをわかってる」という言葉は、互いへの信頼と誇りだったと思う。
支え合う関係を描く『オールドルーキー』だが、第7話ではそこから一歩進んで、誰かを支えることの喜びに達した。果奈子(榮倉奈々)は、現役引退した夫や子どもたちのため毎日お弁当を作っていたが、それがレシピ本の出版につながり、果奈子自身を輝かせることになった。ただし、それは自己犠牲とは違う。「主婦だって大事な仕事」という果奈子は、一方で「もしやりたいことがあるなら、チャレンジする権利は誰にでもある」と語る。
がむしゃらな吉木の熱意が新町たちを動かして不可能と思われた扉を開き、吉木との出会いによって桜が一歩を踏み出したように、勇気が伝播していく回だった。スポーツそのものにドラマ性は内在しているが、純度の高さがその熱をヒューマンドラマに昇華していた。対戦相手を演じた国枝慎吾選手や齋田悟司選手は、車いすテニスで世界への道を切り開いたパイオニアである。ドラマの中で、「パラスポーツを知らない人たちにも知ってもらえるくらい強くならなきゃ」と吉木が話した通りの事実を、自らの手で実現した2人に最大のリスペクトを捧げたい。
■放送情報
日曜劇場『オールドルーキー』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:綾野剛、芳根京子、中川大志、岡崎紗絵、増田貴久、生田絵梨花、稲垣来泉、泉谷星奈、高橋克実、榮倉奈々、反町隆史
脚本:福田靖
演出:石井康晴
プロデュース:関川友理、松本明子
編成:東仲恵吾、高橋秀光
音楽:木村秀彬
主題歌:King Gnu「雨燦々」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
サッカー監修:大久保嘉人
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/OLDROOKIE_tbs/
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