パク・ウンビンが骨太の内容を温かさで包む 新たな挑戦作『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』

「どんな親にも一度は“うちの子は特別かも”と思う日が訪れます」

 ヨンウが自閉スペクトラム症という“特別な子”という診断を医師から下される日から物語は始まる。ヨンウの持つ特性がさまざまなシーンで説明される。5歳になったヨンウが初めて発した言葉「傷害罪」。弁護士となったヨンウが、初めて弁護をすることになる被告との再会でこの言葉の意味がわかる。1話では夫の収入に頼るしかない高齢の女性が、認知症になった夫をめぐり事件を起こす。事件の中でヨンウは、卓越した頭脳と細部に心を寄せることのできる才能で、弁護士として立派に活躍する。第2話では性的マイノリティに苦しむLGBTQの原告が登場し、第3話予告では“自閉症”と一括りにできない、さまざまな人たちがいることを描く。

 作品全体を通し、マジョリティの作る社会で生きづらさを抱えて生きている人たちにフォーカスし、マジョリティとマイノリティの垣根を失くし、社会の偏見や不条理を変えていく。受容できる意識の進化の時代が来ているというメッセージを受け取ることができる。人の特質に良い悪いはなく、ただ違いがある。弁護士事務所ハンバダの代表ハン・ソニョン(ペク・ジウォン)が食事会の席で、チャン・ミョンシク(カン・ギヨン)と会話するシーンでは、ヨンウとチェ・スヨン(ハ・ユンギョン)が、用意された高級料理のコースではなく、スヨンは「お腹の調子が良くない」とお粥を頼み、ヨンウは好物のキンパを頼む。それを見たソニョンとミョンシクは「このチームはとても個性的です」「ええ、本当に個性的ね」と言う。会社の食事会でも食べたいものを食べればよい。押しつけがましくないサラリとしたセリフだが心に響く。

 周囲の期待に応えることも、誰かの理想像に沿うことも必要ない。ただあるがままの特性を活かし、天賦の才を発揮する場を与えること。自他を受容すること。受容するためには知る必要がある。啓蒙啓発の骨太メッセージを柔らかい包み紙に包み、温かく優しい雰囲気で伝えている。『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』はそんな作品だ。「私は自閉症だから結婚できないかもしれません」父にそう言ったヨンウだが、イ・ジュノ(カン・テオ)との間に、淡いものが漂っている気配がある。ヨンウとジュノの2人のシーンは、ヨンウがお気に入りのクジラに関する莫大な知識披露の時間だ。今後それが恋に発展するのか否か。ヨンウの成長とともに、ロマンスが生まれるのかにも刮目したい。

■配信情報
『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』
Netflixにて配信中
(写真はENA公式Instargamより)

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