『ちむどんどん』房子と田良島が青春真っ只中の若者に贈る「悩め」というメッセージ

 『ちむどんどん』(NHK総合)第12週は「古酒(くーす)交差点」。第57話では、暢子(黒島結菜)と智(前田公輝)が初デートで和彦(宮沢氷魚)と愛(飯豊まりえ)と隣り合わせのテーブルにつく。

 和彦と愛が婚約すると知った暢子は落ち着かない。和彦に対して無意識のうちに抱いていた友達以上の感情を意識したことで気が動転していた。ちょうどそのタイミングで、独立して自分の店を持った智が暢子に思いを伝えようとする。和彦もそれを知って暢子のことが気になりはじめ……。

 暢子が異性を意識して「わじわじ」するのは初めてだが、智はずっと前から暢子のことが好きで、和彦も愛と付き合って長いため恋愛経験はゼロではない。経験値が異なる4人は男女の立場の違いも影響して、それぞれ悩みの形も異なる。愛と順風満帆な関係を育んできた和彦は、あえて言えば問題がないことが悩み。このまま愛と幸せな家庭を築くことはできるが、本当にそれでいいのか。愛はファッションに関心があり、本心ではパリへ赴任したい。でも和彦との関係を失いたくないので、仕方なく胸の奥に押し込めている。智は報われない恋にもめげず、甲斐性のある男になろうとする。暢子は仕事が恋人だと思ってきたが、実はそうではなかった。

 暢子と智、和彦、愛は全員どうすればいいか結論が出ていなくて、観ているこっちもわじわじしてしまうが、決まりきった答えがあるわけでもない。周囲の大人たちもそれをわかって、独自のアドバイスを贈る。「哀愁に満ちた中間管理職」の田良島(山中崇)は、和彦の葛藤を察して(「この完璧な結婚話に対する僕の漠然とした焦燥感の根拠を言い当てて」)、「みっともない自分から逃げるな。どうなるにせよ、ちゃんともだえ苦しめ」と助言。房子(原田美枝子)はデートへ向かう暢子に覚悟の有無を問いかけ、のちに智の近況に触れながら「どうなるにせよ逃げたら駄目よ」と意味深な一言を残した。

関連記事