『ちむどんどん』暢子、賢秀、良子それぞれに転機が訪れる 第12週はかつてない恋愛回に

「望んでも望まなくても、変化は突然やってくるものだから」

 和彦(宮沢氷魚)の恋人・愛(飯豊まりえ)。彼女のセリフが示唆するように、『ちむどんどん』(NHK総合)第56話では多くの登場人物に転機が訪れた。

 暢子(黒島結菜)が上京してきて早6年。順調に料理人として成長中の暢子は「フォンターナ」を代表して、雑誌のインタビューも受けるようになっていた。お店で唯一の女性の料理人だからか、記者からは「恋人は?」「恋愛願望は?」と料理に関係ない質問も飛び出す。それに対し、満面の笑みで「うちは料理が恋人です! (結婚願望は)全くありません!」とはっきり答えるのが暢子らしい。彼女にとっては、仕事や友人との時間で充実している今が一番幸せなのだ。

 しかし、愛が言うように、自分が望まなくとも周りが変化を求めることは往々にしてある。暢子の場合、幼なじみの智(前田公輝)が万年友人止まりである彼女との関係性の変化をずっと望んでいた。そんな中、智は独立して食品卸の会社を始めることに。これを機に暢子との将来を見据えて、本格的なアプローチに出る予感だ。

 さらに、暢子や智と共に過ごす時間が増えた和彦と愛の関係性にも変化が。順調な交際を進めていた二人だが、愛の方は意外な悩みを抱えていた。洋裁をしていた母親の影響で、幼い頃からファッションに興味があったという愛。夢はパリで働くこと。新聞社でもパリ支局への配属を希望していたが、現実はそう甘くはなかった。

「暢子ちゃんが羨ましい。いつも自由で何にも縛られず、感じるままに生きていて」

 そう語る愛の表情には“後悔”のふた文字が浮かび上がっているようだった。

 そんな矢先、愛は両親や和彦と「フォンターナ」で食事を取ることに。そこで愛の両親は二人に結婚を促す。当人たちよりも戸惑いを隠せないのが、接客を担当していた暢子だ。彼女は、和彦と愛が付き合っているのをずっと前から知っている。いつか二人が結婚することも想像できたはずだ。だが、その“いつか”が目の前に迫り、暢子はもやもやとした初めての感情を経験する。それは友人に置いていかれることへの寂しさなのか、それとも自分でも気づかなかった和彦への恋心なのか。平穏な日々を揺るがす変化は突然やってきた。

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