白鳥玉季、『流浪の月』『極主夫道 ザ・シネマ』で見せたギャップ 子役界きっての説得力
現在公開中の映画『極主夫道 ザ・シネマ』と『流浪の月』の2作品に出演中の子役・白鳥玉季。しかも片や振り切れたコメディ、片や重厚感のある、ある意味タブーに切り込むような作品で、両極に位置する世界観にすっかり馴染んでいる。
映画『流浪の月』では、女児誘拐事件の被害者ということになる10歳の少女・更紗役を好演。大学生・文(松坂桃李)の前ではやりたいことに思いっきり興じる強烈な生命力そのもので、終始眩しく弾けるように発光している姿が印象的だった。居場所を得て心から安心して戯れる姿と、とあるトラウマによる浸食がより残酷にはっきりと浮き彫りになっていた。
文の前で更紗が思いっきりわがままを言い、伸び伸びと笑えば笑うほどに、無防備で無邪気な姿を見せるほどに、そんな彼女の本来の性質が鳴りを潜め、物わかりが良くならざるを得なかったそれまでの地獄のような日々を心底恨みたくなってしまう。白鳥は何かしら事情を抱えており、“大人になるしかなかった”子どもを演じるのが抜群に上手い。自身の事情についてわめき騒ぐでもなく、「ヨソはヨソ、ウチはウチ」だと達観し、どこかで受け入れざるを得ないことを“全てわかっている”子ども。だからこそ、彼女が笑えばこちらまで嬉しくなるが、その後すぐに何だか物哀しさにも襲われるのだ。
一方、映画『極主夫道 ザ・シネマ』では、玉木宏演じる元極道で現在専業主夫の龍を中心に繰り広げられるドタバタ劇の中にあって、最も冷静に両親や周囲に突っ込みを入れる役割を果たす少女・向日葵を演じている。ちょっぴり皮肉屋なところや一人で抱え込みがちなところもあるものの、そんな手強い彼女だからこそ、龍の見た目に惑わされずその真っ直ぐさや打算のなさに信頼を寄せられたのだということがわかる。