『ちむどんどん』我らが賢秀の“オリジン”が明らかに 彼は“入り口”に戻ることができるのか

 暢子(黒島結菜)はこのエピソードを「ニーニーがお父ちゃんに叱られた」という話として思い返していたが、父・賢三(大森南朋)は妹に対して不当に怒鳴り、手を出して母・優子(仲間由紀恵)を傷つけたことを叱るどころか、「父ちゃんのあげるから、いいから食べれ」と、てびちを食べさせた。怖いのは、この一連のシーンで賢秀が一切謝ることなく、癇癪を起こした目的を、達成してしまっていることだ。本来なら、まず絶対に両親はその目的は達成させてはいけない。なぜなら、そうしてしまえば本人はそのやり方を目的達成のための成功事例として(しかも親からは咎められない)と、認識してしまうから。つまり、今度もまた何か自分の要望を貫きたい時は、今回と同じように癇癪を起こせば周りが折れてくれて、自分は謝る必要がないと考えることが当たり前になってきてしまうのだ。賢秀のこれまでを振り返ると、これに当てはまることが数多くある。

「喧嘩しても仲直りできるのが家族」

 これはその通りではある。しかし、仲直りのために必要な謝罪や罪の意識の自覚を学ぶ機会を奪ってしまったのは賢三と優子だった。それでも、二度目の詐欺を受けてようやく賢秀も“学び”を得たのか、今回ばかりは深刻に落ち込んでいる。それくらい一度立ち止まって、冷静に物事を振り返り自省することが、今の彼には必要だった。しかし、ここにきて今度は暢子がそんな彼を奮い立たせて“しまった”。また、いつもの調子に戻った賢秀は、「グレイトになるからよう、さらばだあ!」とその場を去っていった。その後、暢子は「迷ったら入り口に戻る」という三郎(片岡鶴太郎)の言葉を思い出して、おでんを作り直そうとする。料理の味は、まだ“入り口に戻れる”ことだが、果たして賢秀も“入り口に戻る”ことがまだできるのだろうか。1人になった時、改めて今回のことを反省してくれることを願ってやまない。

 オリジンといえば、房子(原田美枝子/桜井ユキ)や安孫子ヨシ(大島蓉子)の過去も今回で少し明かされた。鶴見の空襲で夫を亡くして息子と2人で終戦を迎えたヨシは、1946年の冬の闇市で房子に出会う。彼女の息子がおでん屋で盗みを働いたにもかかわらず、房子は黙って2人ににおでんを食べさせた。その後、仕事の世話もしていたという房子もまた、空襲でたった1人の肉親だった妹を亡くしたという。暢子が房子が親戚であることを知った今週、さらに房子のオリジンが明かされるのかもしれない。

■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK

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