江口拓也×早見沙織、『俺ガイル』コンビが大活躍 『SPY×FAMILY』を支える信頼関係

 スパイとしてプロフェッショナルな姿勢を貫きつつ、父親としての柔らかな表情も巧みに使い分けるロイド。スパイとしては任務遂行のためであれば、犠牲も厭わないし、最後までやり遂げる様は恐怖すら感じられる。父親としてはアーニャに翻弄されつつも、妻のヨルには紳士的な姿勢を見せるなど、誠実な夫というイメージもある。『俺ガイル』の八幡とは正反対ともいうべきキャラクターだろう。ヨルは殺し屋らしい狂気的な一面を持ちながら、母親としての役割を一生懸命全うする姿が健気で愛おしい。殺し屋としての冷徹さと母親として見せる柔らかさのギャップは早見が演じた雪乃の姿とも重なってくる。偽装結婚とはいえ、そこに家族の温かみが感じられるのは、江口と早見の演技とこれまで培われた信頼関係があるからなのかもしれない。

 『俺ガイル』での八幡と雪乃の関係性は作中にも度々登場する「共依存」という言葉で規定することができるが、2人はその関係性を乗り越え、作品の言葉を借りるならば「本物」の関係性であろうと試みるというのが主題でもある。そんな2人の関係性は『SPY×FAMILY』が描くお互いの目的のため依存関係にあるロイドとヨルとも通じるものがあるといえるだろう。

 『俺ガイル』以来となるメインキャラクターでの共演を果たした江口と早見。江口は早見について、「まずは信頼しかなかったです(笑)」と前置きした上で、「実際にご一緒しても、『やっぱりすごいな』『ヨルさんがいるな』と思いました」と語っていた(※1)。対して早見も「アフレコ自体はとても和やかですし、江口さんと種崎(敦美)さんのお二人はロイドさん、アーニャとして、素敵な表現をいつもセリフにのせて収録されています。ですから、自分自身もスッと家族の中に入り込める感じです。そういった感覚というのは、アフレコの初期段階から感じていました」と信頼を寄せていることがうかがえる(※2)。

 『SPY×FAMILY』では試行錯誤しながら、本物の家族のあり方を模索しているロイドとヨル。2人の演技から感じられる息のあった掛け合いや信頼関係というのは、江口と早見のこれまでの共演経験が反映されたもののように思う。2人が演じるロイドとヨルの今後の行方をこれからも温かく見守っていきたい。

※種崎敦美の「崎」は「たつさき」が正式表記。

参照

※1. https://anime.eiga.com/news/115824/
※2. https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1648804152&p=3

■放送情報
『SPY×FAMILY』
テレビ東京ほかにて、毎週土曜23:00〜23:30放送
キャスト:江口拓也、種崎敦美、早見沙織
原作:遠藤達哉(集英社『少年ジャンプ+』連載)
監督:古橋一浩
キャラクターデザイン:嶋田和晃
総作画監督:浅野恭司
助監督:片桐崇、高橋謙仁、原田孝宏
色彩設計:橋本賢
美術設定:谷内優穂、杉本智美、金平和茂
美術監督:永井一男、薄井久代
3DCG監督:今垣佳奈
撮影監督:伏原あかね
副撮影監督:佐久間悠也
編集:齋藤朱里
音響監督:はたしょう二
音響効果:出雲範子
音楽プロデュース:(K)NoW_NAME
制作:WIT STUDIO×CloverWorks
(c)遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会
公式サイト:http://spy-family.net/
公式Twitter:https://twitter.com/spyfamily_anime

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