江口拓也×早見沙織、『俺ガイル』コンビが大活躍 『SPY×FAMILY』を支える信頼関係

 現在、テレビ東京ほかにて絶賛放送中のTVアニメ『SPY×FAMILY(スパイファミリー)』で、主人公のロイド・フォージャーを演じる江口拓也と殺し屋で妻のヨル・ブライアを演じる早見沙織のコンビが活躍している。作中では偽装結婚ながら息のあった掛け合いを見せている2人であるが、以前にも3シリーズにわたって放送された人気アニメ『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(以下、『俺ガイル』)にて主人公とヒロインという立場で共演を果たしており、両作のファンからしたら往年のコンビの復活に湧いた方も多いだろう。そこで、本稿では2人の過去の共演作から『SPY×FAMILY』で見せる名コンビぶりを紹介したい。

『SPY×FAMILY』公式サイトより

 主人公とヒロインという関係に限って言えば、江口と早見が初めて共演したのが『俺ガイル』だった。同作は、2011年3月から2021年4月にかけてガガガ文庫(小学館)において連載されていた同名のライトノベルを原作としており、これまで全18巻が刊行されている。2013年にアニメの第1期が放送されると、2015年に第2期、2020年に第3期が放送された。江口演じる比企谷八幡は恋愛に縁のない生活を送っている自称“ぼっち”。奉仕部に入部した八幡が早見演じる雪ノ下雪乃らと出会い、様々な問題を解決していくストーリーだ。恋愛要素はあるものの、部活動として様々な人の悩みを解決していくなかで見せる奉仕部の成長が魅力となっている。

 一方で『SPY×FAMILY』はそもそも題材が大きく異なっており、東西の冷戦時代を舞台にスパイや殺し屋といった裏の顔がそれぞれにありながらも、温かい家族の成長がテーマとしてある。ロイドは凄腕スパイとしてミッションを遂行するため、偽装家族を作ることになり、その過程でヨルと娘のアーニャと出会う。ド派手なスパイアクションとホームコメディのバランス感が心地良く、多くの視聴者を魅了しているポイントだ。大きなテーマこそ異なるものの、両作の役柄や関係性は共通点も多く、『俺ガイル』での共演経験が生かされたと感じる場面も多い。

 『俺ガイル』の八幡は幼少期から友達がおらず、中学生の頃に好きだった人にフラれた経験から多くのトラウマを抱えており、何事に対しても穿った見方をしているキャラクターだ。物語序盤こそ怠惰な一面が多く見られたが、奉仕部に入部して様々な問題の解決をするようになってからは、冷静に物事を解決に導いたり、雪乃や結衣といった奉仕部のために自らを犠牲にしたりと、献身的な姿勢を見せる。そんな八幡の性格を変えたのが奉仕部のメンバーであり、ヒロインの雪乃の存在である。雪乃は何でも完璧にこなしてしまう才女。一見どこも隙がないように思われるが、大好きな猫を見ると顔を緩ませる年相応の女の子らしい一面も持ち合わせている。八幡のひん曲がった意見にもズバズバと切り込んでいく場面は爽快だし、切れ味のあるツッコミは早見の真骨頂だ。

 『俺ガイル』ではお互いに好意を抱きながらも中々一歩踏み出すことができない高校生の青春が描かれているが、『SPY×FAMILY』ではすでに2人は夫婦という関係性に置かれており、立ち振舞いもまるで異なる。それでも『俺ガイル』で見せた江口と早見の絶妙な掛け合いが『SPY×FAMILY』でも見ることができる。

関連記事