宇野維正の興行ランキング一刀両断!
『五等分の花嫁』の大ヒットが示す 「実写よりアニメ」の決定的なシフト
そもそも『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』は、5年前の2017年12月に公開された前作『鋼の錬金術師』の時点で最終興収11.1億円と、続編の製作が前提とされていた企画の第一作としてはかなりの苦戦が強いられた作品だった。完結編2部作の同時製作は、そうした状況も受けての予算削減の都合もあったのではないかと推測するが、結果として裏目に出てしまったと言うしかないだろう。
さらに言うなら、『映画 五等分の花嫁』の約3倍のスクリーンで公開されながら、約4分の1の動員しかなかった『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』の結果、そして東映配給で同じく大規模公開されながら動員ランキングでトップ10圏外というさらに厳しいスタートとなった実写作品『ハケンアニメ!』の結果は、この5年間で「実写作品よりアニメーション作品」という観客の動員傾向が大きくシフトしたことも少なからず影響しているのではないだろうか。これまでのいわゆるオタク層だけでなく、広く一般層にまでアニメーション作品の人気が浸透した日本の特異な映画マーケットについては、最近もアメリカの大手業界サイトThe Hollywood Reporterが大きな記事(「Cannes: How Japanese Anime Became the World’s Most Bankable Genre」※)で取り上げるなど、世界的にも大きな注目が集まっている。
参照
※ https://www.hollywoodreporter.com/business/business-news/cannes-japanese-anime-worlds-most-bankable-genre-1235146810/
■公開情報
映画『五等分の花嫁』
公開中
出演:松岡禎丞、花澤香菜、竹達彩奈、伊藤美来、佐倉綾音、水瀬いのり
配給:ポニーキャニオン
(c)春場ねぎ・講談社/映画「五等分の花嫁」製作委員会
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/anime/5hanayome/
公式Twitter:@5Hanayome_anime