『やんごとなき一族』際立つ明人夫婦と健太夫婦の対立 松下洸平の愛に溢れる芝居も
有沙(馬場ふみか)の見合いを通して家族の在り方が描かれた『やんごとなき一族』(フジテレビ系)の第5話。圭一(石橋凌)の肩を持つことで出世を目論む兄夫婦と、人としての最低限の自由を求め、そこに立ち向かう健太(松下洸平)と佐都(土屋太鳳)夫婦。互いの対立はいよいよ深まるのであった。
望まぬ縁談話が進んでしまった有沙は、なんとかして破談にしようと家を飛び出してしまう。心配していた健太に有沙からの連絡が入り、居場所を尋ねると、そこはなんと彼氏・中島俊也(葉山奨之)の家だった。有沙が逃亡していることが世に知れれば深山家のスキャンダルになりかねないと、圭一は縁談を断ることを決める。だが有沙と俊也が幸せになろうと思っていた矢先、居場所を特定した明人(尾上松也)と美保子(松本若菜)が乗り込んでくる。そこで明人らは俊也に大金を与え、さらに深山家の力を誇示することで圧力をかけ、有沙と別れさせてしまうのだった。
いよいよ深山家の明人夫婦と健太夫婦の対立が際立ってきた。明人と美保子は圭一から認められ深山家での地位を高めるために、あの手この手で健太らの邪魔をする。しかし健太にとって有沙は大事な妹だ。妻を愛するように妹への強い愛も、そこにある。健太は兄として絶対に有沙に幸せになってほしかったのだ。有沙自らが見合い相手の香川友貴(森田甘路)との結婚を決意した際には、「有沙を大切にしてほしい」と直談判する。涙ながらに有沙への思いを訴え、どれだけ家族として大切にされてきたのかを物語った。健太の真剣な表情には視聴者の心までもが締め付けられ、苦しくなってしまう。
兄として妹を見つめる目、お茶をこぼしてしまった佐都への声かけ……松下洸平の芝居には些細なところにも愛が溢れている。言葉で説明することなどなくても、そこからは、家族を愛するということの本質がしっかりと伝わってくるのだ。そして健太と佐都の関係からは愛において重要な“信頼”と“敬愛”が見えてくる。それは有沙にとっての希望の光でもあったのだが……。兄夫婦のようになりたいと言いつつ別な道を選ぶことになってしまった有沙の姿に胸が痛む。