『マイファミリー』というタイトルの意味も重要? 飯田和孝Pに聞く“第2章”へのヒント

なぜ“誘拐”を題材に?

――家族の絆を作品として描くときに、乗り越える題材として多かったのが、病、死別、不貞などでした。あえて誘拐というセンセーショナルな事件を選んだ理由を教えてください。

飯田:病気となると、終わりに向かって進んでいく印象があるじゃないですか。病が進行していく中で家族が結束して、その人の分まで一緒に生きようね……と。終わりが見えている中で、悲しい気持ちに寄り添う感じになると思うんです。今回は、「戻ってくると信じているものを取り戻す」という、ノンストップファミリーエンターテインメントの「エンターテインメント」の部分に注目したいと思いました。取り戻せると信じているからこそ一丸となって前に進める。そのパワーを表現できるのではないかと考えたんです。ハリウッドでもやはり「誘拐」を上手くエンターテインメントにしている作品があるので、描きやすい題材だとは思っています。「誘拐」はフィクションだと感じやすいところもあると思いますし。病気も誘拐も悲しいことに違いはないのですが、本作では「悲しみに共感させよう」というふうにはしたくなかったのです。

――エンターテインメントという点では、スマホゲーム「リビットウォーカー」のカエルがドラマの中のアニメーションで戦ったりしていますね。1〜3話ではゲームが事件解決の糸口になりましたが、この先もゲームが絡んでくることはあるのでしょうか?

飯田:終盤にかけて、あると思います。4話で発表された新作も、何らかの形で出てくると思いますよ。やはりエンターテインメントにしたい部分と、分かりやすさの部分でゲームが良かった。主人公の温人をなぜゲーム会社の社長にしたかというと、“温人だからできる解決方法”というのもあるし、誘拐事件とのギャップを作り、そこで視聴者の方がドラマに入りやすくなればいいなという思いも含まれています。

――これまで、親が子を思う気持ちがとても丁寧に描かれてきましたが、製作陣の実体験を盛り込んだ部分があれば聞かせてください。

飯田:作っている人間は、子供や家族がいる人が多いです。実体験でいうと、監督も脚本家も子供が大きいのに未だにベビーカーを持っていて、それで実際に荷物を運んだ経験があったことですね。そのシーンはリアルに反映されています。子供を思ったり、親を思う機会というものは、なかなかなかったりする。日曜劇場を観てくださる方のことを考えたときに、やはり家族に届けたいという思いがあったので、“自分ごと”に捉えていただけるよう繊細でリアルな描写を心がけています。「ファミリーストーリー」は、決して大きな話ではないと思うんです。もちろん誘拐事件は当人にとっては大きなことですが、『DCU』(TBS系)や『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(TBS系)のようなスケール感とは違うと思っています。あくまでも「ファミリー」の話。そこを重点的に描いていきたいなと思いました。

――共感してもらいたい部分は、家族への思い?

飯田:家族への思いや、一つの悲劇を通して心を重ねていく夫婦、家族、友人ですね。こういう事件があると、おのずと心を重ねていくけれど、普段からもっと通じ合おうと思えば、できたはず。それをしない自分たちを省みるきっかけになるかなと思いました。

――日曜劇場を観るお父さんたちが、ハッとするような作品になるかもしれませんね。

飯田:子供が誘拐されるなんてことはフィクションといえ見たくないという部分はあるでしょうから、そこは勝負かなとは思っています。

※高橋海人の「高」は「ハシゴダカ」が正式表記。

■放送情報
日曜劇場『マイファミリー』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:二宮和也、多部未華子、賀来賢人、高橋メアリージュン、大友康平、神野三鈴、迫田孝也、那須雄登(美 少年/ジャニーズJr.)、山田キヌヲ、 渡辺邦斗、藤間爽子、大島美優、凛美、山崎莉里那、松本幸四郎、富澤たけし(サンドウィッチマン)、蓮佛美沙子、森脇英理子、珠城りょう、濱田岳、玉木宏
脚本:黒岩勉
演出:平野俊一
プロデューサー:飯田和孝、渡辺良介(大映テレビ)
スーパーバイジングプロデューサー:那須田淳
協力プロデューサー:大形美佑葵
音楽:大間々昂
主題歌:Uru「それを愛と呼ぶなら」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作著作:TBS
(c)TBS

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