広瀬アリスの迫真の演技に、魅力全開の松村北斗 『恋マジ』心沸き立つ幕開けに

 「恋なんかいらない。そんな雑音、私には必要ない」と言い切り、仕事と趣味に生きる女性がヒロインの前代未聞な恋愛ドラマ『恋なんて、本気でやってどうするの?』(カンテレ・フジテレビ系)がスタートした。

 現代社会に生きる私たちは常に時間と戦っている。1日の大半を仕事に費やし、余った時間で友達と遊びに出かけたり、自分の趣味を謳歌したり。そこに恋愛が入ってくると他のことに集中できないばかりか、頑張ったって報われるとは限らない。たしかに究極の“無駄使い”だ。

 でも、私たちはそんな非合理的なものと分かっていながら恋に落ちてしまうことがある。27歳にして恋愛経験ゼロの純(広瀬アリス)にも、心乱される出会いは突然降ってきた。純は食器ブランド「相良製陶」の洋食器デザイナーで、大きな展示会の仕事を任されるほど、若きチーフとして上司からの信頼も厚い。一生懸命働いた後は食器をチェックしつつ、美味しい料理に舌鼓を打ち、たまに高校からの親友である響子(西野七瀬)やアリサ(飯豊まりえ)と女子会。独身でも人生は充実してて、恋愛が入り込む隙なんてなかった。

 そんな純にも、かつて一人だけ気になる存在がいた。高校時代に所属したラクロス部の先輩で、卒業後に今の会社で再会した営業部の拓人(古川雄大)だ。純は傷つきたくなくて拓人のことを“推し”と称していたが、彼が転勤先のシンガポールから帰ってきたことを機に気持ちが溢れ出す。でも拓人が結婚の相手として選んだのは、純が嫌いな“泣く女”だった。

 純が恋を必要とせず、どんなに辛い時も絶対に泣かない理由。それは幼い頃に恋をした相手に捨てられ、泣いてばかりいた母親の姿を見ていたから。

「失恋して泣くとか、ほんとバカみたい。ほんと情けない。時間と労力の無駄」

 最初は1人、2回目は女子会で訪れたフレンチビストロ「サリュー」でギャルソンの柊磨(松村北斗)になぜか本音を吐露してしまう純。次々と溢れ出す言葉は、まんまと恋に落ちて傷ついてしまった自分自身に言い聞かせているみたいだった。広瀬アリスはそのコロコロと変わる表情に親しみやすさがある一方、シリアスな場面では迫真の演技で空気を一変させ、観る者を画面に引きつける。純が「泣きな、たまには」と言ってくれた柊磨の胸で思わず泣いてしまう場面でも彼女がずっと抱えてきた痛みが伝わってきて心が揺さぶられた。

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