『カムカムエヴリバディ』遂に最終週へ 「Be delicious.」に動揺するアニーの真意は?

 『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第107話では、るい(深津絵里)が雪衣(多岐川裕美)と、ひなた(川栄李奈)がアニー・ヒラカワ(森山良子)と濃密な時間を過ごす。

 るいは雪衣が入院したことを知り、岡山の病院へ。隣で勇(目黒祐樹)が見守る中、雪衣は安子(上白石萌音)に対して長年抱き続けてきた思いを初めて吐露する。それはどす黒い、憎しみの念。美都里(YOU)の話から安子を軽蔑していた雪衣。そんな安子がるい(古川凛)を連れて雉真家にやって来たことで、雪衣は疎外感を抱くようになる。そんな時に、一人ぼっちのるいへとぶつけられたのが、「安子さんは女手一つでるいちゃんを育てることを諦めて、雉真の家にお返ししようと決めたんじゃ思います」という意地の悪い一言だった。まだ幼かったるいはその言葉の意味を完全には理解していなかったが、母への不信感のきっかけになったことは間違いない。

 その後、雪衣はかねてより思い続けてきた勇と一緒になることになったが、安子とるいの歯車を狂わせてしまった元凶であることをずっと悔やみ続けていた。るいは雪衣の手をそっと握り、「もう自分を責めんといてください。みんな間違うんです。みんな」と語りかける。それは赦すということ。同時にるいの脳裏には、自分が犯した間違いも去来していた。それが安子に向けられた「I hate you」。ボタンの掛け違いが生んだ深い憎しみの一言を、るいは雪衣と同じように悔やみ続けている。

 一方のひなたはアニーとの再会を果たす。ただ、そのアニーの足取りは何かを確認したかったような、そんな素振りでもある。以前、ひなたが差し入れをした「大月」の回転焼きを気に入ったアニーは、「Why are you they so delicious?(どうしてあんなにおいしいのかしら)」と尋ねる。ひなたがその理由に答えたのは、あんこのおまじない。翻訳が難しいと前置きをしながら、ひなたが唱えるそのおまじないは、かつてロバート(村雨辰剛)が安子に教えてくれたものと瓜二つだ。「Be delicious. be delicious. be delicious.(おいしゅうなれ おいしゅうなれ おいしゅうなれ)」ーー決定的なそのフレーズを聞いたアニーは慌てて道場を跡にする。靴も履かずに裸足で、後ろめたさを抱えながら、ひなたから逃げるようにして。

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