爆発、ブチギレ、コテコテのギャグ 『アンビュランス』はマイケル・ベイ円熟期の快作だ!

 そんなベイやんのアッパーな演出に応えるように、俳優陣も奮闘している。今やすっかり怪人役が板についたジェイク・ギレンホールは安定のブチギレっぷりを見せてくれるし、ジェイクの相棒にして、本作の良心の部分を担うヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世も魅力的だ。この2人の高速の罵り合いによって、映画はさらに加速していた。そして何よりエイザ・ゴンザレスだ。彼女は何とか患者を救おうと奮闘する看護師を演じており、その好演によって本作は群像劇的な味わいが宿っている。ベイやんは技術面では新しいことを求めるが、人間ドラマは古典的な浪花節を好む。よく言えば「王道」、悪く言えば「テンプレ」である。さらに「画」を最優先するあまり、人間については赤い液体が詰まった袋くらいに捉えている節があるので、キャラクターにも命を吹き込むには役者の力が欠かせない。その点で今回はかなり上手くいっていると言えるだろう。

 本作は「自分に何が求められているか?」「自分に何ができるのか?」、この2つを完璧に理解している人間の仕事だ。この映画にはマイケル・ベイと聞いて期待するものが確かにある。三半規管が弱い人間には厳しいが、ベイやん円熟期の快作の一つだと言えよう。

■公開情報
『アンビュランス』
全国公開中
監督:マイケル・ベイ
脚本:クリス・フェダク
出演:ジェイク・ギレンホール、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、エイザ・ゴンザレス
原作:デンマーク映画『25ミニッツ』(ラオリツ・モンク・ペターセン監督、ラース・アンドレアス・ペダーセン脚本)
製作:マイケル・ベイ、 ブラッドリー・J・フィッシャー、ジェームズ・ヴァンダービルト、ウィリアム・シェラック、イアン・ブライス
配給:東宝東和
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公式サイト:https://www.universalpictures.jp/micro/ambulance
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