宮沢りえ、江口のりこ、小池栄子、新垣結衣 『鎌倉殿の13人』を引き締める女性陣の好演
りくは政子に嫉妬心を抱いていたとは思うが、頼朝の妻としての振る舞いを教え込んだこともある。だから頼朝の妻であろうと懸命に励む政子をなおざりにした頼朝が許せなかったのだろう。それはりくの態度にも表れている。時政や義時(小栗旬)は頼朝を前に視線を下げているが、りくは位など気にせず、頼朝の顔を睨む勢いでまっすぐ見つめる。「今すぐ御台に頭をお下げください!」と頼朝に訴えた際には、りくは体全体で力強く促していた。
プライドの高いりくだが、結果的にその意志の強さが政子を力強く励ますことになった。時政が伊豆へ帰ってしまったことで、宮沢の勝ち気でチャーミングな言動はしばらく見納めかもしれないが、今後の活躍も楽しみだ。
それから八重の静かな怒りも魅力的だった。八重は伊東祐親(浅野和之)と伊東祐清(竹財輝之助)の最期を義時から聞かされた後、義時の提案に対して「お任せします」とだけ答える。義時に強く出ることの多かった八重だが、この返答から、伊東を治めていた父が亡くなったことで八重の立場が変わったことがうかがえる。だが、八重の心は、祐親と祐清の命を奪ったのが頼朝だと察していてもなお、頼朝を想う。祐親と祐清の最期について明かそうとする義時に、八重は「それを私に伝えて、どうしたいのですか」「私が何と言ったら、あなたは喜ぶのですか」と鋭く返した。義時を見据える新垣の強い目に、武士の娘としての気品と強さがある。毎度板挟みに合う義時は不憫でならないが、八重がピシャリと言った「もう放っておいてください」の言葉の通り、しばらく八重とは距離を置いた方がいい気がしてならない。
■放送情報
『鎌倉殿の13人』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:小栗旬
脚本:三谷幸喜
制作統括:清水拓哉、尾崎裕和
演出:吉田照幸、末永創、保坂慶太、安藤大佑
プロデューサー:長谷知記、大越大士、吉岡和彦、川口俊介
写真提供=NHK