三浦透子、絶妙な“距離感”の表現力 『カムカム』『鎌倉殿の13人』で見せる新たな姿

 『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)で三代目ヒロイン・ひなた(川栄李奈)の幼なじみであり良き理解者として登場するのが一恵(三浦透子)だ。しっかり者で頼りになる一恵は幼少期よりひなたの“お姉さん”のような節もあり、世話焼きでるい(深津絵里)と錠一郎(オダギリジョー)夫婦を幾度となく助けてきた一子(市川実日子)の娘というのも頷ける。

 「勝手に人生を決められたくない」とそのまま家業の茶道の道に入るのではなく、社会勉強のためにひなたに頼み映画村でのバイトに名乗りを上げる。いつも冷静に周囲を観察し、人に媚びることもなく、お茶のお稽古時には俳優のすみれ(安達祐実)のことも決して特別扱いしなかった、芯のある凜とした女性だ。

 映画村の職員・榊原誠(平埜生成)からすみれへの秘めたる恋心にも真っ先に気づき、「人を好きになるやなんて、あほやからやと思います。傷ついたり傷つけられたりしながら、人を好きになるんやから」とこぼしていたのが印象的だった。そんな一恵の感情がかき乱される珍しい様子が見られるのが第21週だ。

RADWIMPS - 祝祭 (Movie edit) feat. 三浦透子 [Official Music Video]

 三浦は本作が朝ドラ初出演。子役出身で、『悪の教典』や『鈴木先生』、『素敵なダイナマイトスキャンダル』『架空OL日記』など幅広い作品に出演し存在感を発揮した。演技力のみならず歌唱力も高く評価されており、アニメーション映画『天気の子』で、劇中音楽を手掛けるRADWIMPSの野田洋次郎に主題歌のボーカリストに抜擢され、『NHK紅白歌合戦』にゲストボーカルとして初出場を果たした。厚みや深みがありながら透き通る彼女の歌声は唯一無二で、そこにはたちまち晴れ間が広がる。

 三浦が演じる役どころは、相手とどこか距離を置く、その距離の置き方が絶妙で、それゆえの気楽さのあるキャラクターが多い。一恵は母・一子や実家とも適正距離を計ろうとするし、常に自分の足で立とうとする。ちなみに前述の一恵の言葉は映画『ロマンスドール』で三浦が演じたOL ・ひろ子の「バカばっか」という言葉ともどことなくリンクする。登場シーンはそう多くはない役柄だったが、自分を客観視できており、弱さも愚かしさも認められるやけにリアルな人物像を立ち上らせた。

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