『カムカムエヴリバディ』で描かれたカップルを総括 100年で変化した恋愛の始まり方

 ひなた(川栄李奈)の時代になっても自由な恋愛は続く。変化したのは、相手との接し方だった。るいは出会った頃から錠一郎を「ジョーさん」と呼び、常に「トランペットを吹く彼を支える」というマインドを持っている。一方でひなたと五十嵐(本郷奏多)の関係は友達から始まっているため、ひなたは「五十嵐」と五十嵐のことをはじめから呼び捨てで呼んでいる。やりとりも冗談まじりのコントのような雰囲気があり、時には大声で喧嘩もする“ケンカップル”ぶりがこれまでの安子、るいにはなかったものといえる。

 付き合ってから、ひなたの「五十嵐」呼びは「文ちゃん」に変化。仕事での大部屋ながらも「俳優」と「スタッフ」という関係性や五十嵐が年上ということは気にされず、ひなたは五十嵐のパートナーとして対等に振る舞っている。微笑ましいふたりの関係は、時代を遡って、大正時代、自由恋愛の末結婚したという安子の祖父母・杵太郎(大和田伸也)とひさ(鷲尾真知子)を想起させる部分もあり、これもまた、100年の物語のおもしろさを感じさせる。

 あんなに仲の良かったひなたと五十嵐の関係が終わってしまってから月日はどんどん流れ、ひなたはどう感じているのだろう。このまま終わってほしくないと思っている視聴者も多いことだろうと思うが、21週目の予告にもはっきりとは、五十嵐は登場していなかった。ひなたと五十嵐の恋の行方も、結末をみたい物語のひとつである。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか 
写真提供=NHK

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