『カムカム』安子、るい、ひなたを繋ぎ合わせる英語講座 人生を変える新たな風に?

 ひなた(川栄李奈)が小学生ぶりに英語と向き合うことになった『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第19週。

 これで、三世代に渡るヒロイン全員の繋がり、共通点を感じさせる要素として英語が再び浮上する。そもそも、安子(上白石萌音)と稔(松村北斗)を急接近させ愛を育むきっかけになったのが英語であり、安子にとって稔亡き後も彼との繋がりを感じさせてくれ、暗闇の中で差し込む一筋の光であり続けたのも英語だった。それと同時に、雉真家の中で安子を孤立させてしまい、娘・るい(深津絵里)の心を離れさせてしまうことにも繋がるものでもあった。

 るいにとっては朧げな母親・安子との思い出の中に残るのがラジオから流れる英語講座であると同時に、英語は自分から母親を引き離し奪い去ってしまったものでもある。るいは安子に自身が言い放った強烈な英語での一言について果たして覚えているのだろうか。

 何の巡り合わせか、るいが避けていた英語に小学生のひなたが触れたいと言い始め、あの頃と変わらず「ラジオ英語講座」が流れていることを知る。るいの中で途絶えてしまった安子との思い出が、ここでは変わらずずっと流れ続けていたのだ。三日坊主のひなたは結局「ラジオ英語講座」を聞く習慣もすぐに投げ出してしまうわけだが、何とそれがきっかけで、実はるいは17年近く1人で毎朝この「ラジオ英語講座」を聞き続けていたことが明かされる。声に出しながら毎朝。途絶えていた安子とるいの思い出や共有していたかつての時間を、ある意味ひなたが復活させたとも言える。きっとるいは新たに英語を学習するだけでなく、その過程で消えかけていた雲のような母親との時間や会話を少しずつ取り戻しかけているのではないだろうか。

 そして、ここにきてひなたと英語を再び引き合わせるような出来事が起きる。映画村の集客増加のために、外国人観光客向けツアーを組むことを思いついたひなたは、自身が英語の話せるガイドになるべくして一念発起。五十嵐(本郷奏多)との結婚資金として積み立てていた預金を英語教室の3カ月間コースに突っ込む。幼少期からなかなか何をやっても続かないひなただったが、なんだかんだ言って要所要所でポイントを押さえるのが上手い。彼女の天性の嗅覚の良さなのだろう。

 頑張ってお小遣いを貯めて行ったモモケン(尾上菊之助)の握手会が、巡り巡って後の彼女や大月家を救うことに繋がるし、今回だってそうだ。五十嵐との結婚を夢見て貯めたお金で、未来の自分への投資ができ、さらにはそれがるいの止まっていた過去の時間を動き出させるきっかけにもなるのではないだろうか。

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