『ファイトソング』菊池風磨、バックハグで本領発揮 間宮祥太朗と好対照のキャラクターに

 ひとりでジェットコースターに乗って「隣にいてほしいと思った」と心が動きまくりの芦田(間宮祥太朗)に、笑いを取りにいくチャラさとは裏腹に大きな理想を持って“年上”らしく格好良いところを見せようとする慎吾(菊池風磨)。花枝(清原果耶)がひとりで抱え込んでしまっている秘密を発端とした行動が、花枝を気遣う周囲の人々を動かす。2月15日放送の『ファイトソング』(TBS系)第6話は、このドラマが1対1や三角関係のラブストーリーを単に描くだけでなく、主人公を軸にした群像劇でもあることを改めて証明するようなエピソードとして見事な進行を見せる。

 キャンプ場に駆けつけた芦田の告白によって、一度は慎吾に邪魔をされたものの改めて“取り組み”を再開することを決める花枝。手術まで3週間を切り、誰かにその話をしなくてはいけないことに悩みながらも、残りの時間のなかで何とか芦田との思い出を作ろうと遊園地デートを提案する。そんな花枝の様子が気になる芦田だったが、花枝は案の定教えようとしない。そんな折、仕事終わりに慎吾が突然倒れてしまい、彼が夜な夜なキャバクラに通っていたのはクリーニングの仕事を引き受けていたためだと知る花枝。そして慎吾は、仕事のことと花枝に対する想いを語るのである。

 「会社を大きくして学園を出た子たちみんなが働ける会社にしたい」という大きな野望と、「愛しつづける、守りつづけるって決めてんの」という花枝へのストレートな言葉からのバックハグ。前回告白の機会を逸したことを取り戻すかのような慎吾の今回の一連は、ラブコメには定番の“かませ犬”ポジションであろうと思って見ているともどかしく思えるほど格好良い。もっとも詩人のような(ないしはぎこちなくも取れる)愛情表現の芦田とは見事に好対照であり、花枝というヒロインに向けられる彼ら2人の動きの微笑ましさは、劇中の言葉を借りればまさに「恋はすさんだ世界を救うね」といったところだ。

 遊園地デートで花枝から指摘され、ようやく“名前”を呼ぶようになる芦田。その呼びかけを、目を閉じてじっくりと耳の奥で味わうように聴く花枝。さらにジェットコースターを見上げながら、隣に芦田がいることをイメージして手を繋ぐ一連。そうした“聴く”という健常者にとっては当たり前の動作が持つ輝きをいかにして視覚化するかという試みが、花枝の手術が差し迫ってきている(とはいえ劇中の日付はまだ2月前半で3週間近くあると示されるが)ことで今回はより意識的に取り入れられているように見える。

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