藤原竜也&松山ケンイチ、15年ぶりの本格“競演" 『デスノート』コンビに泣かされるワケ

 さて、そんな本作でダブル主演を務めている藤原と松山だが、それぞれに異なるキャリアの重ね方をしてきたように思う。映画やドラマなど映像作品への出演も多いが、やはり藤原はデビュー以来、舞台こそが彼の最も輝く場のように感じるし、松山は現在『hana ー1970、コザが燃えた日ー』という舞台に出演中だが、映画俳優の印象が強くある。『日本沈没 ー希望のひとー 』(2021年/TBS系)の熱のこもった演技も頼もしかったが、やはり映画ファンとしては『BLUE/ブルー』(2021年)で演じた負け続きのボクサーの、静かな笑みの下から滲む哀しみに魅せられたものである。

 この『ノイズ』には、15年越しに本格的に技を見せ合うことになった演技巧者の、軌跡のようなものが刻まれていると思う。昨年公開された『太陽は動かない』『鳩の撃退法』での姿とは対照的な、非常に抑制された演技が印象に残る藤原だが、彼の口にするセリフの響きは演劇のようになだらかで美しい。藤原のセリフ回しが、本作に“リズム”を持ち込んでいる。対する松山は佇まいだけで、純というキャラクターを語ってみせているように感じる。先に触れた『BLUE/ブルー』のように、ちょっとした仕草やふとした際の表情で観客に何かを訴える演技が、本作でも求められているのだ。一つの作品とはいえ、二人の異なる演技のアプローチを堪能して欲しいものである。

 『DEATH NOTE デスノート』では両者ともに現実離れしたアクの強いキャラクターに扮していたわけだが、本作で二人が演じるのは、離島でごく平凡に暮らす青年だ。そんな彼らに異変が起こる。事の顛末には触れないでおこう。藤原竜也と松山ケンイチーー早くも彼らの次なる共演/競演が待ち遠しくて仕方なくなる。それが『ノイズ』という映画だ。

■公開情報
『ノイズ』
全国公開中
出演:藤原竜也、松山ケンイチ、神木隆之介、渡辺大知、黒木華、伊藤歩、渡辺大知、酒向芳、迫田孝也、鶴田真由、波岡一喜、寺島進、余貴美子、柄本明、永瀬正敏
原作:筒井哲也『ノイズ(noise)』(集英社ヤングジャンプ コミックスGJ刊)
監督:廣木隆一
脚本:片岡翔
音楽:大友良英
企画・プロデューサー:北島直明
製作・企画:日本テレビ放送網
制作:クレデウス
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)筒井哲也/集英社 (c)2022映画「ノイズ」製作委員会
公式サイト:noisemoviejp
公式Twitter:@noise_movie

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