『ラスト・ショー』（1971年）、『ニューヨークの恋人たち』（1981年）などを手がけてきた、ピーター・ボグダノヴィッチ監督が82歳で亡くなった。

　俳優、作家、評論家としても活躍してきたボグダノヴィッチ監督は、1月6日（アメリカ現地時間）に、ロサンゼルスの自宅で自然死により亡くなったと報じられた。ボグダノヴィッチ監督の娘で、監督兼脚本家のアントニア・ボグダノヴィッチは、「父は止まることなく仕事をし続けました。映画は父の人生です。父は家族を愛しており、父から多くのことを教わりました」「他の誰よりも映画に対する情熱をもっていました」と語っている。

　ボグダノヴィッチ監督は、1968年に『殺人者はライフルを持っている！』で、劇場映画監督デビューを果たし、その後1971年に手がけた『ラスト・ショー』は、第44回アカデミー賞にて監督賞、脚色賞、作品賞など6部門にノミネートされるほど大ヒットとなり、「アメリカ国立フィルム登録簿」にも登録。そのほか、オードリー・ヘプバーン最後の主演映画である『ニューヨークの恋人たち』（1981年）や『マイ・ファニー・レディ』（2014年）の監督、『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』（1999年～2007年）への監督兼出演、2007年には『ザ・シンプソンズ』でキャラクターの声を担当するなど、幅広い活躍をみせてきた。

　ボグダノヴィッチ監督の訃報を受け、数々のハリウッド著名人らが、追悼の言葉を捧げている。

　『ラスト・ショー』に出演したジェフ・ブリッジスは、「ピーターがもうこの世にいないなんて、非常に心が痛い。彼を愛していましたし、とても寂しいです。彼は非常に素晴らしいアーティストでした。彼は私たちに素晴らしい映画と、彼の賞賛する映画監督についての洞察力というギフトを残してくれました。愛しています、ピーター」とコメント。

　『ペーパー・ムーン』に出演し、当時10歳にして史上最年少でアカデミー賞助演女優賞を受賞したテータム・オニールは、「ピーターは私の楽園、父のような存在であり友人。『ペーパー・ムーン』から『ニッケルオデオン』まで、彼はいつも私に安心感を与えてくれました。愛しています、ピーター」と述べた。

　『おかしなおかしな大追跡』に出演したバーブラ・ストライサンドは、「ピーターはいつも笑わせてくれました。彼は天国でもみんなを笑わせ続けるでしょう。安らかに」とコメントした。

　ケイリー・エルウィスは、「古くからの友人のひとりであるピーターが亡くなったと聞き、深く悲しんでいます。彼は並外れた才能をもち、広い心をもった優しい人でした。彼と一緒に仕事ができたことを永遠に感謝します。安らかに、ピーター」とピーターを悼んだ。

　また、映画監督仲間のギレルモ・デル・トロやポール・フェイグも、ボグダノヴィッチを偲び、デルトロは「彼は親愛なる友人であり、映画界の後援者（チャンピオン）です。彼は監督として数々の傑作を生み出し、非常に温厚な人でした。彼は自力で映画監督としての人生を築き上げ、同世代の誰よりも多くの作品を作りあげたのです」と賞賛の言葉とともに追悼の意を捧げ、フェイグは「『おかしなおかしな大追跡』は、大好きなコメディのひとつで、子供の頃、人を笑わせたいと思うようになった映画です。彼の訃報を聞いてとても悲しいです。映画のために全力を尽くしてくれてありがとう。安らかに、ピーター」と追悼の言葉を述べた。

※参考
・https://deadline.com/2022/01/peter-bogdanovich-dead-the-last-picture-show-paper-moon-whats-up-doc-mask-1234905299/
・https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/hollywood-pays-tribute-peter-bogdanovich-1235070889/