『レッド・ノーティス』はまるで『ルパン三世』? かつてのお正月映画のような華やかさ

 ハートリーとブースを幻惑するのは世界一の美術品泥棒、ビショップ(ガル・ガドット)。演じるガドットは『ワンダーウーマン』シリーズの成功で知られる。178センチの長身と、もともとイスラエル国防軍で戦闘トレーナーの職に就いていたほどの身体能力を活かし、ジョンソンとレイノルズを同時に叩きのめすアクションも難なくこなしている。

 ブースが狙っているのは「クレオパトラの卵」と呼ばれる3つの秘宝。ハートリーがブースを阻止しようとするが、ビショップに秘宝を横取りされた上、ハートリーはFBI捜査官の職歴を抹消されてブースと一緒にロシアの監獄に入れられてしまう。ハートリーとブースは一時休戦し、ビショップと秘宝を追うことにするが、やがて2人の間には友情が芽生えていく。

 SNSでは「『ルパン三世』みたい!」というコメントも相次いでいる。軽口を叩いて周囲を騙しながら泥棒をするブースと、それを追うコワモテだけどユーモラスなハートリー、そして2人を出し抜く悪女ビショップという構図が、ルパン、銭形警部、峰不二子の関係によく似ているからだろう。ブースが「ほしいのはスリルで金じゃない」とプロファイリングされるのもルパンそっくりだ。ただし、ルパンと違ってブースはビショップの美貌にまったく惹かれない(その代わりハートリーには「愛してるんだろ?」と言う)。

 儲け役は3人のスターに負けない存在感を放つ、FBI捜査官のダス(リトゥ・アルヤ)だろう。『ルパン三世』にならえば、彼女こそが本当の銭形警部である。演じるリトゥ・アルヤは英国でインド人の両親の間に生まれ、自国で俳優のキャリアを積んだ後、Netflixのスーパーヒーロードラマ『アンブレラ・アカデミー』のライラ役でブレイク。今後の活躍も期待される。

 重厚な作品が多いイメージがあるNetflixオリジナル映画だったが、『レッド・ノーティス』は社会問題や政治的なイシューには一切触れず、ひたすらアクションコメディーで突っ走る。3人のスターのやりとりは見ているだけで楽しいし、ローマ、バリ、バレンシア、ロシア、アルゼンチンと舞台は目まぐるしく移り変わるし、数分に1回は派手なアクションがあってまったく飽きさせない。ジョークもくどくなく、ちょっと気の利いた感じなのも憎い。1時間57分あっても「あっ、もう終わりなんだ」と胃もたれしない。エド・シーランのカメオ出演も含め、なんだかかつてのお正月映画のような華やかさがあった。往年の洋画ファンは懐かしい気分を味わえるのではないだろうか。

 ラストは明らかに続編を匂わせていたが、ぜひとも豪華なゲストを招いてシリーズ化してほしい一作だった。

■配信情報
Netflix映画『レッド・ノーティス』
Netflixにて独占配信中
監督・脚本:ローソン・マーシャル・サーバー
出演:ドウェイン・ジョンソン、ガル・ガドット、ライアン・レイノルズ

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