天才子役から演技派俳優へ　マッケナ・グレイスが作家性の強い監督に愛される理由

　その後、スティーヴン・スピルバーグ監督の『レディ・プレイヤー1』（2018年）に出演したり、『キャプテン・マーベル』（2019年）で主人公キャロル・ダンバース（ブリー・ラーソン）の幼少期を演じたりと、途切れることなく活躍をつづけていた彼女は、2019年に公開された『アナベル 死霊博物館』で主演を務めることになる。『死霊館』シリーズを手がけてきたジェームズ・ワンが製作を務め、ゲイリー・ドーベルマンがメガホンを取ったた本作で、グレイスはシリーズの中心キャラクターであるウォーレン夫妻の娘ジュディを演じた。

　これまでの出演作では、どちらかといえば気の強い少女を演じてきた彼女だが、本作では少し違った雰囲気になっている。母ロレイン（ヴェラ・ファーミガ）と同じく霊が見えるジュディは、少し影のある少女だ。あるとき、両親の留守中に彼らが保管していたアナベル人形から悪魔が解き放たれ、ジュディとベビーシッターのメアリー・エレン（マディソン・アイズマン）、そして彼女の友人ダニエラ（ケイティ・サリフ）は、恐怖の一夜を過ごすことになる。そんななかジュディは、悪霊たちに怯えながらも次第に毅然とした態度で彼らに対処していく。本作でのグレイスは地毛のブロンドを黒髪に染めており、端正な顔立ちが際立っている。そして今度は、本作の製作を担当したジェームズ・ワンの監督作『マリグナント 狂暴な悪夢』で主人公マディソン（アナベル・ウォーリス）の幼少期を演じている。ワンもホラー映画を得意とする作家性の強い監督だが、『死霊博物館』に続いて彼が手がける作品に出演したことは、彼がグレイスの実力を買っているからではないだろうか。

数多くのテレビシリーズでも活躍

　そんなマッケナ・グレイスは、映画だけでなくテレビシリーズにも多く出演している。Netflixの『フラーハウス』では、DJ（キャンディス・キャメロン・ブレ）の息子マックス（エライアス・ハーガー）の初恋の相手ローズをキュートに演じた。このちいさなカップルは、微笑ましい恋模様をくり広げ、視聴者の人気を獲得した。一方、人気テレビシリーズ『ビッグバン★セオリー／ギークなボクらの恋愛法則』の主人公シェルドンの幼少期を描く『ヤング・シェルドン』で彼女が演じたのは、シェルドン（イアン・アーミテージ）のライバルとなる天才少女ペイジ。彼女はシェルドンと同じく「自分は誰よりも賢い」と信じており、たびたび彼を打ち負かしては得意気な笑みを浮かべる意地悪な少女だ。『フラーハウス』のローズと『ヤング・シェルドン』のペイジは正反対と言える役柄で、グレイスの演技の幅の広さを感じさせる。

　そして2021年、彼女は『ハンドメイズ・テイル／侍女の物語』シーズン4に出演し、またしてもその実力を見せつけた。グレイスが演じたのは、年老いた司令官に妻としてあてがわれたエスター・キーズ。そこで酷い仕打ちを受けてきた彼女は、主人公ジューン（エリザベス・モス）と出会い、彼女を母親のように慕うことで変わっていく。その演技が高く評価され、グレイスはプライムタイム・エミー賞の最優秀ゲスト女優賞（ドラマシリーズ）にノミネートされた。

　マッケナ・グレイスは、日本では2022年2月に公開される『ゴーストバスターズ／アフターライフ』にも出演している。同作では、同じく子役として注目を集めたフィン・ヴォルフハルトとの兄妹役も好評だ。また彼女は、『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』で長編監督デビューを飾ったオリヴィア・ワイルドの最新作『Perfect（原題）』に出演することが発表されている。これまで数多くの作品に出演し演技力を培ってきたグレイスは、今後ますます活躍が期待される子役、いや俳優だ。現在はまだ幼さの残る役が多い彼女だが、レッドカーペットなどでは大人っぽい表情を見せるようにもなっている。彼女はこれからどのような作品に出演し、どのような俳優になっていくのか。楽しみに見守っていきたい。

■公開情報
『ゴーストバスターズ／アフターライフ』
2022年2月4日（金）全国ロードショー
監督：ジェイソン・ライトマン
脚本：ギル・キーナン、ジェイソン・ライトマン
製作：アイヴァン・ライトマン
出演：マッケナ・グレイス、ポール・ラッド、フィン・ヴォルフハルト、キャリー・クーン、ローガン・キム、セレステ・オコナー
配給：ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
原題：Ghostbusters: Afterlife
公式サイト：https://www.ghostbusters.jp/
公式Twitter：https://twitter.com/Ghostbusters_JP
公式Instagram：https://www.instagram.com/ghostbusters_jp/