西野七瀬、2021年の飛躍 『言霊荘』『孤狼の血』など多様なジャンルに適応する俳優に

 「言霊」により女性限定マンションの住人女性たちが“人ならざる者”に翻弄されていく様が描かれるホラー作品『言霊荘』。西野演じる歌川言葉(コトハ)は、言葉の力を信じ、人々の幸せを願う、夢見がちで天真爛漫な天然女子だ。『歌川コトハの引き寄せチャンネル』を通して「前向きな言葉は幸せを運びます」などと啓蒙活動を続ける底辺ViewTuberでもある。友人・紗香(三吉彩花)の紹介でレディスコート葉鳥の新たな住人となってから、マンションで言葉にしたことが実現する怪奇現象が次々と起こり、第5話で、レイシ(永山絢斗)の叔母である女性宮司・トシマ(斉藤由貴)によって除霊が成功したと思われたところまでが第1章。第2章では、新しく引っ越してきた住人が封印を解いてしまい、言霊の真相究明にコトハが再び動き出している。

 西野は本作では、当初は明るく、好奇心旺盛の女子として等身大の演技を見せ、大げさにならない恐怖に慄く顔や、不可解な現象に見せる素直なリアクションの演技なども、感情が先走らずに、視聴者と共に恐怖を体感していくホラー作品主人公ならではの演技を見せる。そうした演技が序盤の不気味な雰囲気とマッチし、作品の怖さに拍車をかける存在となった。『あなたの番です』もそうだが、この演技力がホラー作品に西野がマッチする一つの理由だろう。

 一方レイジだけにはあたりが強く、「逃げんじゃねーよ」「タラタラしてんじゃねぇよ、ちゃっちゃっとやれよ」と、ある意味西野が乃木坂時代のバラエティでも得意としている“ドSモード”が発動したときの絶妙なかけあいが、ドラマに緊張と緩和を生み出し、視聴者の心を掴んでいる。これまでの経験が存分に活かされた形だ。

 ただ、第2章になると、悪霊がコトハに「全部あなたのせい」と囁いたことや、紗香の霊に「生き延びてね」と言われたことで自己嫌悪に陥ったのか、シリアスなモードに切り替わった演技が艶っぽさとして表情に現れるなど、佳境に向かって徐々に感情の変化を見せている。第7話の予告を見る限り、西野史上一番の狂気の演技を見せているのも楽しみであり、今後の演技のさらなる変化として期待が持てる。

 等身大の演技、コミカルなやりとり、そしてシリアスな演技など、コトハ役は今年経験した様々な作品の演技の集大成となる作品ではないかと、これまでを振り返ってみて改めて思う。乃木坂46を卒業してから3年、確実に演技の引き出しが増え、かけ合いの間の取り方の成長が伺える西野。唯一無二の俳優への一歩を踏み出している。 

■放送情報
『言霊荘』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:00~23:30放送
ABEMAにて、地上波放送終了後配信
出演:西野七瀬、永山絢斗、斉藤由貴、三吉彩花、中村ゆりか、堀田真由、森田望智、石井杏奈、内田理央、内藤理沙
脚本:橋本裕志
演出:落合正幸、日暮謙、松川嵩史
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:浜田壮瑛(テレビ朝日)、谷口達彦(ABEMA)、木曽貴美子(MMJ)、村山太郎(MMJ)
制作:テレビ朝日
(c)テレビ朝日
「ABEMA」URL:https://abema.tv/video/title/87-1298

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