西野七瀬、2021年の飛躍 『言霊荘』『孤狼の血』など多様なジャンルに適応する俳優に

 俳優として活躍を見せている乃木坂46卒業生の1人・西野七瀬。現在、テレビ朝日×ABEMA共同制作ドラマ『言霊荘』で主演を務め、そのホラー演技が絶賛されている。そこで西野の卒業後の活躍を振り返りつつ、『言霊荘』での演技を掘り下げてみたい。

 乃木坂46時代から、映画『あさひなぐ』やドラマ『電影少女 -VIDEO GIRL AI 2018-』(テレビ東京ほか)で主演を務めるなど俳優経験が豊富だった西野。グループ卒業直後の2019年にドラマBiz『よつば銀行 原島浩美がモノ申す!~この女に賭けろ~』(テレビ東京系)の銀行員役で卒業後初の連続ドラマレギュラー出演。西野は控えめな性格のイメージだが、実は負けず嫌いの性格であることも語ってきた。今作ではそんなキャラとも合致した演技を見せたことで、役者としての新たな方向性が垣間見えたような作品となっていた。

 そして同年に俳優として注目を集めた作品が『あなたの番です』(日本テレビ系)での黒島沙和役。当初は主人公とともに事件解明に立ち向かうヒロイン的な立ち位置だったが、実は連続殺人を楽しむ黒幕という重要な役となった。清純派のイメージだからこそ、相手に死を選択させるときのニヤつきながら淡々と迫る演技やギャップの怖さで魅せていく。そして、自分はいつ死んでもいいという思いが、アイドル時代から変わらぬ西野が持つ儚さと重なり、例え殺人鬼だとしても魅力的なキャラクターに映り、俳優・西野七瀬を世間にアピールできた作品となった。

『孤狼の血 LEVEL2』(c)2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会

 今年は新たな役に挑戦する怒涛の出演ラッシュで、『ホットママ』(Amazon Prime Video)では仕事と育児に奮闘するママ役で喜怒哀楽を巧みに表現。一方、『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(日本テレビ系)では新選組オタクの新任刑事役でコメディ作品との相性の良さを示した。

  一方、映画『孤狼の血 LEVEL2』では、金髪のスナックのママ役で、親密な関係の刑事と暴力団に潜入している弟の狭間でゆれ動く難しい役を演じた。相手に悲しみや怒りをぶつける時の、ふつふつと感情が高まっていく台詞回しなど、キャラクター性ではなく演技力が問われた役を経験。9月5日放送の『情熱大陸』(TBS系)で特集された際に、『孤狼の血』の現場で台詞の間に悩む西野に対し、共演者の松坂桃李が「舞台やると慣れるよね」とアドバイスをしていたが、後に演劇界をリードする劇団☆新感線41周年春興行に出演するなど、着々と役者経験を積んでいる。そんな絶妙なタイミングで主演を務めているのが『言霊荘』となる。

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