『青天を衝け』吉沢亮が栄一として“最後の変身” イッセー尾形、博多華丸との濃厚な対峙も
大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合)第31回のタイトルは「栄一、最後の変身」。この回のラストに栄一(吉沢亮)は千代(橋本愛)へと大蔵省を辞めることを告げる。
「今度こそ最後の変身だ」ーー本意とはいつの間にか大きく外れてしまっていた、自分の進むべき道。それは国立銀行の設立に伴い、栄一が三井組ハウスを「合同銀行にしたい」と三井組の番頭・三野村利左衛門(イッセー尾形)に強引に頼むことがきっかけとなる。栄一が半ば強引に提案するのは、ハウスを提供するか、政府御用から一切手を引くか。三野村はハウスを提供する苦渋の決断を強いられることとなる。その表情はまさに苦虫を噛み潰したような顔。同時に三野村は「お上のお役人さま」となった栄一に「徳川の世と、なにも変わりませんな」と言葉を返すのだった。
それはかつて、岡部藩の代官と商人として御用金を納めていた栄一と同じ構図。いつの間にか商人を見下す側に、栄一は成り果ててしまっていたのだ。地面に這いつくばる身分にいながら、栄一がぐうの音も出なくなるカウンターパンチをサラッと言いのけてしまう三野村もすごい。そして、大蔵省からの辞任を後押しするのが西郷隆盛(博多華丸)の存在。ともに豚鍋を囲んだ過去はもはや懐かしく、あの時とは時代も、身分も、気づけば志も変わってしまっていた。まだ円四郎(堤真一)が生きていたとすれば、今の栄一の姿勢を見て、彼は失望していただろう。「どうも心地が悪い。おかしろくねぇ」ーー栄一は新しい日本を作りたいという初心を取り戻すべく、「官」を捨て、もう一度一人の「民」となることを決意する。
また、吉沢亮とSTAFFによる公式Twitterでは『青天を衝け』放送前にツイートがされているが、今回は「最後の変身だ ready?」とある。これはもちろん、吉沢が『仮面ライダーフォーゼ』(テレビ朝日系)で演じた朔田流星/仮面ライダーメテオの変身シーンのセリフ「メテオ、レディ?」に掛けた内容。吉沢の遊び心溢れる粋なツイートであり、ファンと対等な立場にいようという、そんな姿勢が見て取れる。
そして、ツイートに一緒に記されているのが「栄一はやらかしてます」の文章。前回、大阪の造幣局への出張で出会う女中・大内くに(仁村紗和)との不貞行為が描かれた。演じる仁村紗和は、朝ドラ『おちょやん』(NHK総合)にお茶子として出演しており、見覚えのある視聴者も多かったことだろう。そんな、くには栄一に「あぁ、ちっと」と部屋に誘われるがまま。そこから画面は真っ暗になり、不敵に鳴り響いていたBGMも気味が悪いくらいにピタッと鳴り止む。やがて、その不倫は足袋を塗った赤の糸で千代にバレることとなるのだ。